ピアノソナタ第16番 (シューベルト)

シューベルト ピアノソナタ第16番 イ短調 作品42, D 845 について

フランツ・シューベルトが1825年5月に作曲したピアノソナタ第16番イ短調 作品42, D 845は、ルドルフ・ヨハネス・フォン・エスターライヒに献呈されました。シューベルトの中間期の作品であり、作曲家としてわずか12年程度の創作人生しかない中での数少ない完成されたピアノソナタの一つです。作曲の翌年（1826年）にピアノソナタとしては初めて出版されました。

楽曲構成

全4楽章から構成され、演奏時間はおよそ37分です。従来のソナタにおける3楽章制から一転し、4楽章構成を採用しており、シューベルトはこのソナタ以降一貫して4楽章制を取り続けることになります。

1. 第1楽章 モデラート
イ短調、2分の2拍子（アラ・ブレーヴェ）、ソナタ形式
両手のユニゾンで始まり、このユニゾンが楽章全体を特徴づけています。左手のE音のシンコペーションが、時に不気味な雰囲気を醸し出します。展開部では16分音符による急速なパッセージが現れますが、比較的短いものです。全体的に緩やかなユニゾンが多く用いられています。また、主題を半音下げて再現する手法は、最後のピアノソナタである『第21番 変ロ長調』（D 960）の最終楽章と同様です。

2. 第2楽章 アンダンテ・コン・モート（アンダンテ・ポコ・モート）
ハ長調、8分の3拍子、変奏曲形式
途中で遠隔調である変イ長調の音階進行による変奏が挿入されています。

3. 第3楽章 スケルツォ：アレグロ・ヴィヴァーチェ - トリオ：ウン・ポコ・ピウ・レント
イ短調 - ヘ長調、4分の3拍子
転調を重ねた末にイ長調に落ち着きますが、全体的に調性が不安定です。

4. 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
イ短調、4分の2拍子、ロンド形式
これまでの楽章と同様に転調が多く、調性が不安定です。最後に第1楽章の動機が現れ、加速して曲を閉じます。長調と短調が混在しているのが特徴です。

使用作品

のだめカンタービレ
漫画版のマラドーナ・ピアノ・コンクール（Lesson 43-44）において、主人公の野田恵（のだめ）が演奏しました。その後もLesson51、66、86で演奏されています。テレビドラマ版では、第9話と第11話で使用されました。

参考文献

二ノ宮, 知子『のだめカンタービレ』 8巻、講談社〈講談社コミックスキス〉、2004年3月。ISBN 4-06-340476-5。 
稲田, 小絵子 (2007年6月1日). “シューベルト :ピアノ・ソナタ　第16番 D 845 Op.42 イ短調”. ピティナ・ピアノ曲事典. 全日本ピアノ指導者協会.
Johnston, Blair. “Piano Sonata No. 16 in A minor, D.”. AllMusic.

外部リンク

ピアノソナタ第16番 イ短調 作品42, D 845の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
Performance by Seymour Lipkin from the Isabella Stewart Gardner Museum in MP3 format

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