ピアノ協奏曲第2番 (カバレフスキー)

概要

ドミトリー・カバレフスキーが1935年に作曲したピアノ協奏曲第2番 ト短調 作品23は、作曲家自身によって1973年に改訂が加えられた重要なレパートリーです。

この作品の初演は、完成翌年の1936年5月12日、モスクワでグリゴリー・ギンズブルクの独奏、作曲者指揮によるオーケストラによって行われました。

セルゲイ・プロコフィエフからの影響が随所に認められますが、カバレフスキーならではの率直で温かみのある抒情的な音楽語法が確立されており、この協奏曲は彼の傑作の一つとして広く認識されています。彼の他のピアノ協奏曲、例えば第1番と比較すると、本作はより刺激的で活動的な性格を持ち合わせているのが特徴です。明確な調性感を保ちながらも、20世紀に発展した先進的な作曲技法が効果的に取り入れられており、その響きは非常に鮮やかです。

また、独奏ピアノパートは極めてピアノという楽器の特性を活かして書かれており、演奏者には非常に高度な技巧が求められます。

1973年の改訂

作曲から約40年を経て行われた1973年の改訂は、主にオーケストレーションの細部に変更を加えること、そしてピアノの響きを全体的に軽やかにすることを目指していました。しかし、その中でも第2楽章の後半部分の展開や、第3楽章におけるクライマックスのオーケストレーションには、比較的顕著な変更が見られます。

楽器編成

本作品は以下の楽器編成で演奏されます。

独奏ピアノ
フルート 3
オーボエ 2
コーラングレ
クラリネット 2
ファゴット 2
ホルン 4
トランペット 3
トロンボーン 3
チューバ
打楽器（シロフォンを含む）
弦五部

演奏時間

作品の演奏時間は概ね24分程度です。

楽曲構成

この協奏曲は古典的な3楽章構成を取っています。

第1楽章 Allegro moderato

ソナタ形式で書かれています。活発で動きのある第1主題と、対照的に滑らかな性格を持つ第2主題は、いずれもピアノ独奏によって提示されます。展開部の後半では、変容を遂げた第2主題が高揚感を伴うクライマックスを築き上げた後、独奏ピアノが非常に充実した内容のカデンツァを技巧的に奏でます。

第2楽章 Andantino semplice

楽章の冒頭には「semplice」（単純に、素朴に）という指示がありますが、その響きはむしろ内省的で、やや暗い雰囲気を帯びています。楽章の開始を飾る主題は、コーラングレと金管楽器群によって提示され、その後この主題が様々に形を変えながら自由に展開されていきます。

第3楽章 Allegro molto

ロンド・ソナタ形式による活動的な終楽章です。トッカータ風の性格を持ち、主題は第1楽章の第1主題を変形させたものが用いられています。軽快に提示される第2主題は、第1楽章と同様に、再現部において音楽全体の大きな盛り上がりを演出する役割を果たします。

このピアノ協奏曲第2番は、カバレフスキーの作曲技法とピアノ音楽に対する深い理解が融合した、演奏会でもしばしば取り上げられる重要な作品です。

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