ピーター・スティーブンズ (自動車デザイナー)

ピーター・スティーブンズ：イギリスの自動車デザインの巨匠

ピーター・スティーブンズは1943年生まれのイギリス人自動車デザイナーであり、長年にわたり世界の自動車産業においてその名を馳せてきました。彼はセントラル・セント・マーチンズ美術大学およびロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学び、その才能を磨いていきました。1970年代から自動車デザインのキャリアをスタートし、初めはフォードにてデザイナーとしての経験を積み、その後はオーグル・デザインに移籍しました。

スティーブンズはロイヤル・カレッジ・オブ・アートの指導者としても知られ、多くの若手デザイナーを育成しました。特に1980年代にはロータス・カーズにおいてチーフデザイナーを務め、エスプリモデルの再デザインやロータス・エラン（M100系）を生み出しました。

さらに、彼の名が広がるきっかけとなったのがジャガー・XJR-15のデザインです。このモデルは高性能なスーパーカーであり、その斬新なスタイルと技術は注目を集めました。スティーブンズはその後マクラーレンに移り、1992年に発売されたマクラーレン・F1のデザイン責任者として活躍。F1はその革新性とパフォーマンスの高さから、自動車愛好家の間で今なお特別な存在です。

彼のキャリアはマクラーレンだけにとどまらず、ランボルギーニでもチーフデザイナーとして活動しました。その後、プロドライブ、BMW、ウィリアムズ、トヨタのコンサルタントとして多岐にわたるプロジェクトに携わりました。また、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの客員教授としても2000年まで教壇に立ち続け、自動車デザインの未来を担う若者たちに情熱を注ぎました。

近年では、インドのマヒンドラ＆マヒンドラにてデザインのコンサルタントディレクターとして、マヒンドラ・GIOやXUV500などの新モデルの開発を監督しています。さらに、2011年から2012年にはリヴィアンのデザインディレクターも務め、将来を見据えた電動自動車の設計にも貢献しました。

スティーブンズはその業績により、数々の賞を受賞しています。特に、イギリスのプリンス・フィリップ年間最優秀デザイナーに2度推薦された実績は彼のデザインに対する高い評価を示しています。また、2002年のオートカー誌による年間最優秀カーデザイナーにも選ばれ、多くの自動車愛好家から尊敬されています。

彼が手掛けた車両は実に様々で、ジャガー・XJR-15やロータス・エラン、またBMW・V12 LMRなどはその一部に過ぎません。スバルのインプレッサWRCやMG・ZR、MG・XFなども含め、彼のデザインは多くの名車の伝説を支えています。自動車デザインの分野において、ピーター・スティーブンズは未来を見据えた革新を追求し続けている偉大な存在です。

もう一度検索