ファスター・プシィキャット!キル!キル!

映画『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』の詳細

『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』（Faster, Pussycat! Kill! Kill!）は、1965年に公開されたラス・メイヤー監督のアメリカの映画であり、脚本はメイヤーとジャック・モランの共作です。主なキャストには、トゥラ・サターナ、ハジ、ロリ・ウィリアムズが名を連ねています。

この映画は、無意味な暴力やセクシュアリティ、挑発的な性役割、そして独特のキッチュな会話を特徴としており、以来カルト映画として名を馳せることとなりました。特に、メイヤーの作品の中でも一際挑発的なタイトルを持つこの作品は、露骨なヌードシーンが少ないため、彼の他の作品とは一線を画しています。

あらすじ

物語は、ヴァーラ（トゥラ・サターナ）をリーダーとするゴーゴーダンサーの3人組が砂漠を疾走する姿から始まります。彼女たち、すなわちヴァーラ、ロージー（ハジ）、ビリー（ロリ・ウィリアムズ）は、道中に出会った若いカップル、トミー（レイ・バーロウ）とリンダ（スーザン・バーナード）との間でカーレースに興じます。ヴァーラは狡猾さでレースを制し、逆上したトミーを手にかけてしまいます。その様子を目撃したリンダは衝撃で気を失います。ヴァーラは彼女を連れ去ることに決めます。

4人は荒涼としたハイウェイを進み、やがて年老いた従業員（ミッキー・フォックス）がいるガソリンスタンドで給油をすることになります。そこで出会ったのは、両足が不自由な老人（スチュアート・ランカスター）と、その筋骨たくましい息子ベジタブル（デニス・ブッシュ）でした。老人は過去の列車事故で障害を抱え、隠し持っているとされる多額の金があることを話し、ヴァーラは彼から金を奪う計画を立てます。

老人の家で待ち受けるのは、彼の二人の息子。次男のベジタブルは母の死因である事故の影響を受けた存在で、家庭内では彼を道具のように扱う老人の姿が描かれています。ヴァーラたちはリンダを人質に、その屋敷に乗り込み、物語は予想もしない展開へと進行していきます。

大衆文化への影響

『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』は、多くの映画や音楽に影響を及ぼしました。カルト映画の巨匠ジョン・ウォーターズは、この作品を愛する旨を何度も語り、『フィメール・トラブル』や『ピンク・フラミンゴ』といった作品でもその影響が見られます。また、トレーシー・ガンズは彼のバンドに映画から名前を取り入れようとしたものの、最終的に古いバンド名を使用しました。その代わりにその影響を受けたバンド「ファスター・プッシーキャット」を結成します。

グルーヴ・メタルバンドのホワイト・ゾンビは、この映画の要素を音楽に取り入れ、ザ・キラーズのミュージックビデオ『All These Things That I've Done』のイメージにも映画からの影響が見られます。

さらに、B-52'sのシングル「Funplex」でも映画のフレーズが繰り返され、ダニエル・クロウズのグラフィックノベル『鉄で造ったベルベットの手袋のように』のタイトルもこの映画に由来しています。

このように、『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』はただのエクスプロイテーション映画を超えて、文化的な象徴となり、多くの作品にインスピレーションを与える存在となっています。

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