ファルマン III

ファルマン III（Farman III）

ファルマン IIIは、1909年にフランスによって開発された推進式の複葉機です。この航空機は、アンリ・ファルマンが設計・製作し、第一次大戦前に世界各国で利用されました。特に日本には同型機が輸入され、1910年12月には日本初の試験飛行に成功したことでも知られています。

製作の経緯

ファルマン IIIの誕生には、航空技術への情熱を注いだアンリ・ファルマンの経歴が重要な役割を果たしました。彼は1907年に初めての飛行体験を経て、航空機製造会社を設立し、その後ファルマン Iを改良した経験を活かしてファルマン IIIの開発を進めました。ファルマン IIIは、独自に設計された部分として、補助翼や車輪を用いた降着装置を持ち、航空機のデザインに新たな方向性を示しました。

特徴と初飛行

ファルマン IIIは、長い操縦桿と後部に設置されたエンジンを備えており、先端には昇降舵、尾翼には方向舵を装備しています。1909年4月6日に行われた初飛行では、彼の操縦のもと、50hpの直列4気筒エンジンでの飛行が実現しました。後の改良では、グノーム社製空冷星型7気筒回転式エンジンに搭載し、さらなる性能向上が図られました。

技術革新

ファルマン IIIは、補助翼の導入による機体の操縦性の向上が特徴です。これにより、操縦士は旋回時の体の動きが容易になったとされています。また、車輪型の降着装置を採用したことは、以降の航空機デザインに影響を与える重要な革新でした。

競技と記録更新

1909年には、アンリ・ファルマンはファルマン IIIを使って長距離飛行の世界記録を更新しました。特に、8月27日のランス競技会では、180kmを飛行し、続く11月には232kmの記録を樹立しました。これらの成功はファルマン IIIの名声を高め、後の航空競技へも大きな影響を与えました。

日本における利用

日本では、1910年8月に購入されたファルマン IIIが初の公式動力飛行に使用されました。徳川好敏と日野熊蔵の操縦によって1910年12月に成功を収め、この日が「日本初飛行の日」として記念されました。

フォロワーと影響

ファルマン IIIは、その革新技術のおかげで世界中で数多くのライセンス生産が行われ、イギリスやドイツ、デンマーク、日本など多くの国に導入されました。これらの機体はそれぞれの国の航空史において重要な役割を果たし、特にファルマン IIIは最も知られる航空機の一つとして定着しています。

軍事利用の始まり

ファルマン IIIは、1911年10月にはイタリア・トルコ戦争中に前線偵察機としても使用され、歴史的な重要性も兼ね備えています。これは、軍事利用のための航空機の利用が始まった例として記録されています。

現在の評価

今日では、ファルマン IIIは航空史の重要な一ページを彩る存在として評価されています。日本初の飛行を成功させた機体としても、今なお多くの資料が残り、航空ファンの間で高く評価されています。日本各地には関連する記念施設やモニュメントが設置され、当機の歴史を伝え続けています。

もう一度検索