フィアット・ブラーボ

フィアット ブラーボ/ブラーバ：イタリアンハッチバックの系譜

フィアット・ブラーボとブラーバは、イタリアの自動車メーカー、フィアットが1995年から2001年にかけて製造・販売したハッチバック型乗用車です。ティーポの後継モデルとして登場した初代モデルは、3ドア版が「ブラーボ」、5ドア版が「ブラーバ」という車名で展開されました。この車名は、イタリア語の感嘆詞「ブラボー」に由来しており、「ブラーボ」が男性形、「ブラーバ」が女性形を表しています。

初代ブラーボ/ブラーバは、曲線を多用したイタリアらしい個性的なエクステリアデザインが特徴でした。ブラーボとブラーバはボディ形状だけでなく、Bピラー以降のデザインも大きく異なっていました。パワートレインは、1.4L、1.6L、1.8Lのガソリンエンジンと1.9Lのディーゼルエンジンが用意され、ブラーボには2.0L直列5気筒20バルブエンジンを搭載したスポーティな「HGT」モデルも存在しました。トランスミッションは主に5速MTが採用され、1.6Lエンジン車には4速ATも選択可能でした。

1998年にはマイナーチェンジを実施。1.4Lエンジンが1.2Lエンジンに置き換えられ、ディーゼルエンジンにはコモンレール式燃料噴射装置が採用されるなど、改良が加えられました。HGTモデルも可変バルブ機構の採用により最高出力が向上しました。なお、ブラーボ/ブラーバとプラットフォームを共有するモデルとして、セダン/ワゴンのマレアや、トールワゴンのムルティプラも存在しました。初代ブラーボ/ブラーバは2001年に生産を終了し、後継モデルとして同年登場したスティーロにバトンタッチしました。

日本市場においては、1998年2月から1999年11月にかけて、ブラーボの右ハンドル、1.6L、4速AT仕様が「ブラビッシモ」という車名で正規輸入されました。全長4mに対して全幅が1.7mを超えるボディサイズは、当時としては大型で、広々とした室内空間を確保していました。しかし、3ドアボディのみのラインナップだったため、販売は苦戦を強いられました。ブラーバは日本市場には導入されませんでした。

2007年には、スティーロの後継モデルとして2代目のブラーボが登場しました。2代目ではボディ形状が5ドアに一本化され、車名も「ブラーボ」に統一されました。エクステリアデザインはグランデプントのデザインを踏襲しており、フィアットの新エンブレムも初めて採用されました。初代モデルの個性的なデザインとは異なる、より親しみやすいデザインへと進化を遂げました。2代目は2014年まで製造されました。

ブラーボ/ブラーバは、イタリアンデザインと広い室内空間を両立させたフィアットのハッチバックとして、個性的な存在感を示しました。日本市場では販売台数は伸び悩みましたが、欧州市場では一定の人気を獲得したモデルと言えるでしょう。その特徴的なデザインとメカニズムは、フィアットの歴史における重要な1ページを刻んでいます。

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