フェリーゴールド

フェリーゴールド：波乱に満ちた40年の航跡

1970年2月、日本の林兼造船下関造船所で建造されたフェリーゴールドは、ダイヤモンドフェリー株式会社の初代フェリーとして、大分港と神戸港を結ぶ航路に就航しました。就航当初は隔日運航でしたが、後に毎日運航へと移行、さらに増便も実施されるなど、高い人気を誇りました。

1980年には船体延長工事が行われ、航路の需要増に対応しました。神戸港の発着場所も、六甲アイランドフェリーターミナルへと変更されています。しかし、1986年11月、後継船の就航により、惜しまれつつも引退。日本の海からその姿を消しました。

引退後、フェリーゴールドはギリシャのG.A. Ferries社に売却され、1988年12月に新たな船名「MILENA」を与えられ、エーゲ海での活躍を開始します。ピレウス港を拠点に、キクラデス諸島などを結ぶ航路に就航、1990年には主機の換装も行われました。

2005年からは、イオニア海を横断し、イタリアとギリシャを結ぶ国際航路にも就航。イタリアのMaritime Way社と共同運航を行い、地中海を舞台に活躍の場を広げました。しかし、2007年にはピレウス港で係留される期間が生じ、2009年には再び係留される事態に。その後、2008年には航路に復帰するものの、長年の航海の疲れが蓄積していたのかもしれません。

2011年12月、長い航海の生涯を終え、フェリーゴールドはスクラップとして売却されました。トルコへと回航された後、解体され、その姿は完全に消滅しました。

設計と船内設備

フェリーゴールドの船体は、上層からAデッキ、Bデッキ、Cデッキ、そしてワゴンデッキの4層構造でした。AデッキとBデッキは旅客区画、Cデッキは前方部分が旅客区画、後方が乗用車搭載区画、ワゴンデッキは大型車搭載区画と、機能的に区分けされていました。また、ワゴンデッキの船首と船尾にはランプウェイが設置され、車両の乗降をスムーズに行うための工夫が凝らされていました。

船内には、様々なクラスの船室が用意されていました。特別室、A洋室、B洋室、和洋室、一般室など、乗客のニーズに合わせて多様な選択肢が提供されていました。設備面も充実しており、レクリエーション室、バー、大食堂、ドライバー娯楽室、浴室などが備えられていました。これらの設備は、長旅の疲れを癒やし、快適な船旅を過ごすために欠かせないものでした。

航路の変遷

フェリーゴールドは、ダイヤモンドフェリーとして就航した当初、神戸港（東神戸フェリーセンター）―松山港―大分港を結ぶ航路を運航しました。当初は隔日運航でしたが、フェリーパールの就航により毎日運航となり、さらにフェリールビーの就航後には隔日運航便が増えました。1970年3月からは松山港への寄港を開始し、1980年7月には神戸港の発着場所が六甲アイランドフェリーターミナルに変更されました。

G.A. Ferriesに売却後は、エーゲ海やイオニア海を舞台に、様々な航路を運航しました。ピレウス―パロス―ナクソス―イカリア―サモスなどを結ぶ航路をはじめ、パトラ―ケファロニア―ザキントス―ブリンディジといったイタリアとギリシャを結ぶ国際航路も運航されました。2008年には、ピレウス―シフノス―サントリーニ―イラクリオン―シティア―カソス―カルパソス―ハルキ―ロードスを結ぶ、さらに広範囲にわたる航路にも就航しました。

フェリーゴールドは、その生涯を通じて、日本とギリシャの海で多くの乗客や車両を運搬しました。その歴史は、海運の歴史を語る上で重要な一ページと言えるでしょう。長い航海生活の末、トルコで解体されたフェリーゴールドは、もう二度と海を航行することはありませんが、その名は人々の記憶の中に刻み込まれているのです。

もう一度検索