ブリンディジ

ブリンディジ：地中海の要衝、歴史と文化の港湾都市

イタリア共和国南部プッリャ州に位置するブリンディジは、アドリア海に面した活気ある港湾都市です。人口約8万7000人を擁する基礎自治体であり、ブリンディジ県の県都でもあります。古代から現代まで、地中海交易の中心地として栄え、その歴史と文化、そして戦略的な立地から、イタリアのみならず世界の歴史に深く関わってきた都市と言えるでしょう。

古代からの歴史と地中海交易

ブリンディジの歴史は古く、古代ギリシャ時代にはΒρεντεσιον（ブレンテシオン）と呼ばれていました。ローマ帝国時代には、ラテン語でBrundisium（ブルンディシウム）として知られ、ローマと東方世界を結ぶアッピア街道の終着点として、地中海交易の中心地として繁栄しました。 ローマ帝国を代表する詩人ウェルギリウスもこの地で最期を迎えました。

その後、東ローマ帝国や両シチリア王国などの支配下を経て、19世紀後半にはイタリア王国の一部となりました。第二次世界大戦中には、ムッソリーニ政権崩壊後の1943年から1944年にかけて、一時的にイタリアの首都が置かれたという重要な歴史的役割も担っています。

交通の要衝としてのブリンディジ

ブリンディジは、古くから海路の拠点として重要な役割を果たしてきました。スエズ運河開通後は、欧亜航路の主要発着港の一つとして、日本を含むアジアとヨーロッパを繋ぐ重要な役割を担いました。現在でも、イタリア国内はもちろん、ギリシャ、アドリア海沿岸諸国、北アフリカなど地中海各地へのフェリー航路の拠点であり、イタリアを代表する港湾都市としての地位を維持しています。

海運以外にも、ブリンディジ空港からはアリタリア航空などの定期便がイタリア国内やヨーロッパ、アフリカ各国へと就航し、陸路においても高速道路やイタリア国鉄が市内と各都市を繋いでいます。

文化と文学作品への登場

ブリンディジは、その歴史的な背景や独特の雰囲気から、多くの文学作品や芸術作品にも登場しています。特に有名なのは、森鷗外の小説『舞姫』です。物語の冒頭でブリンディジ（作中では「フリンヂイシイ」や「ブリンヂイシイ」と表記）が登場し、主人公がブリンディジ港から帰国の途につく場面が描かれています。 また、アニメ『ポルフィの長い旅』では、主人公が最初にたどり着くイタリアの街としてブリンディジが登場しています。

地理と周辺環境

ブリンディジはブリンディジ県南東部のアドリア海沿岸に位置し、レッチェ、ターラント、バーリなどの主要都市と道路や鉄道で結ばれています。アドリア海を挟んでアルバニアのティラナやギリシャのヨアニナといった都市にも比較的近い距離にあります。周辺にはカロヴィーニョ、チェッリーノ・サン・マルコ、ラティアーノなど、多くのコムーネ（基礎自治体）があります。

姉妹都市

ブリンディジは、アルバニアのルシュニャ、ギリシャのパトラ、ギリシャのケルキラと姉妹都市提携を結んでいます。これらの都市との繋がりは、ブリンディジの歴史と地中海における国際的な役割を象徴しています。

まとめ

ブリンディジは、古代から続く豊かな歴史、地中海交易における重要な役割、そして現代の交通拠点としての機能を兼ね備えた、魅力的な都市です。その歴史的建造物、美しい海岸線、活気ある港湾、そして人々の温かさを通して、訪れる人々に忘れられない体験を提供してくれるでしょう。これからも、地中海の要衝として、歴史と文化、そして発展を続けていくことでしょう。

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