フェンリル (衛星)

フェンリル（Fenrir）は、土星の第41番目の衛星として知られています。この天体は、土星の周りを逆行する不規則衛星であり、北欧群に分類されます。

発見は、デビッド・C・ジュイット、スコット・S・シェパード、ブライアン・マースデン、ジャン・クレイナらの観測チームによって行われました。彼らは、2004年12月13日から2005年3月5日の間に集中的な観測を実施しました。特に最初の観測は12月13日に行われ、このデータが発見につながりました。観測には、すばる望遠鏡、W・M・ケック天文台、ジェミニ北望遠鏡といった、世界でも有数の大型望遠鏡群が使用されました。

2005年5月3日には、小惑星センターのサーキュラーを通じて、フェンリルを含む11個の新しい土星の衛星が同時に発表されました。この時、フェンリルには仮符号S/2004 S 16が付与されました。その後、2007年4月5日、この衛星は北欧神話に登場する巨大な狼、フェンリルにちなんで正式に命名され、Saturn XLIという確定番号が与えられました。

フェンリルの土星からの平均距離は約22,454,000kmです。推定直径は約4kmと非常に小さく、太陽系の衛星の中でも特に暗い天体の一つです。見かけの等級は25であり、これは、観測が非常に困難であることを示しています。土星を周回する軌道から見ても、17等級よりも明るくなることはありません。そのため、土星探査機カッシーニのような高性能な観測機器でも、フェンリルを観測することは困難です。

このように、フェンリルは小さく暗い天体であるため、その詳細な性質を解明するにはさらなる観測が必要とされています。しかし、その発見と軌道データは、土星の衛星系の形成過程や、太陽系の初期における天体の動きを理解する上で重要な手がかりとなっています。

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