フォレスタル級航空母艦

フォレスタル級航空母艦：戦後アメリカ空母の金字塔

フォレスタル級航空母艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦後に建造した最初の超大型空母であり、その革新的な設計は後のアメリカ空母の標準となりました。本稿では、フォレスタル級航空母艦の設計、能力、運用、そしてフィクション作品における描写について詳しく解説します。

誕生の背景：戦後の冷戦と朝鮮戦争

第二次世界大戦でアメリカ海軍の艦隊空母は、その戦果を遺憾なく発揮しました。しかし、同時に戦訓に基づく改良の必要性も浮き彫りになりました。1945年5月には、エセックス級やミッドウェイ級に続く次世代空母の計画が開始されました。当初はミッドウェー級よりも小型の艦が検討されていましたが、大日本帝国海軍の消滅と核兵器の登場を背景に、核戦略に貢献できる大型艦へと計画は変更されました。

CVB-X計画として建造された「ユナイテッド・ステーツ」は、起工後わずか9日で建造中止という憂き目に遭いました。しかし、朝鮮戦争の勃発は、空母の重要性を再認識させる契機となり、大型空母の計画は復活します。1952年度予算に急遽追加されたSCB-80計画によって、ネームシップである「フォレスタル」が建造されました。その後、改良型のSCB-80M計画に基づき、3隻の同型艦が建造されました。

独自の設計：アングルド・デッキと艦体構造

フォレスタル級の設計は、議会からの排水量制限要請や、アングルド・デッキ（斜め着艦甲板）の導入といった、幾つかの重要な要素によって特徴付けられます。当初は従来型のアクシアル・デッキを採用する計画でしたが、イギリスで開発が進められていたアングルド・デッキの採用が決定されると、艦橋構造物も従来型の固定式アイランドへと変更されました。

アングルド・デッキの採用は、着艦時の安全性を向上させました。また、艦体構造は、強度甲板を飛行甲板とし、その下に格納庫が配置されるという、後のアメリカ空母で標準となるレイアウトを採用しています。荒天時における航空運用能力の維持も重視されており、艦首はエンクローズ型となり、格納庫の気密性も向上されました。船体内部は1200個以上の水密区画に区切られ、高い生存性を確保していました。ただし、格納庫の高さを確保した結果、主甲板が低くなったために、波の打ち込みが課題となりました。

強力な推進力と航空運用能力

推進システムには、バブコック・アンド・ウィルコックス製のボイラー8基と蒸気タービン4軸を採用し、ネームシップでは26万軸馬力を発揮しました。SCB-80M計画艦では、蒸気条件の変更によって出力は28万軸馬力に向上しました。

航空運用能力は、アングルド・デッキ、蒸気式カタパルト、ミラー着艦支援装置を備えた初のアメリカ空母として注目に値します。カタパルトは当初油圧式が予定されていましたが、設計段階で蒸気式に変更されました。格納庫面積も広く、各種艦上機を運用することが可能でした。エレベーターは全て舷側配置となり、この配置は後の空母設計にも採用されるようになりました。

個艦防御と搭載兵装

フォレスタル級は、5インチ単装速射砲を8基搭載していましたが、これは後に順次撤去され、代わりにシースパロー艦対空ミサイルやファランクスCIWSが搭載されました。レーダーシステムも、搭載当初のシステムから、より高性能なものへと更新されていきました。また、一時的にレギュラス巡航ミサイルを搭載した時期もありました。

フィクション作品への登場

フォレスタル級は、数多くの映画、アニメ、漫画、小説、ゲームなどに登場し、その存在感を示しています。実艦が撮影に使用された作品も多く、現実とフィクションの両面で、フォレスタル級航空母艦は広く知られる存在となっています。

結び

フォレスタル級航空母艦は、戦後のアメリカ海軍空母において、その設計思想や技術的進歩に大きな影響を与えました。アングルド・デッキや蒸気式カタパルトといった革新的な技術は、後の空母設計の標準となり、現代の空母にもその影響を見ることができます。また、フィクション作品への登場を通じて、フォレスタル級は多くの人々にその名を知らしめる存在となっています。その歴史と技術的貢献は、海軍史においても重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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