フォートエリー競馬場

フォートエリー競馬場：カナダ競馬史を彩る名舞台

カナダ、オンタリオ州フォートエリーに位置するフォートエリー競馬場は、1897年の開設以来、カナダ競馬界を牽引する存在として君臨してきたサラブレッド競馬場です。特に、カナダ三冠競走の第2戦であるプリンスオブウェールズステークスの開催地として知られており、多くの競馬ファンを魅了しています。

歴史と変遷：栄光と危機

フォートエリージョッキークラブによって創設されたこの競馬場は、当初は夏と秋の開催でしたが、オンタリオジョッキークラブへと所有権が移転した後は春と夏の開催へと移行しました。ウッドバイン競馬場の夏季休場期間中には競馬開催を行い、競馬ファンの需要に応えていました。現在は5月から10月にかけて競馬が開催され、サイマルキャストによる他競馬場の馬券販売も行っており、年間を通して競馬を楽しむことができます。

競馬場には1400台のスロットマシンを備えたゲーミング施設が併設されており、競馬場入口には「Fort Erie Race Track and Slot」と表記されているように、多角的な経営を展開しています。

1950年代前半には、オンタリオジョッキークラブ会長であったエドワード・プランケット・テイラーが競馬場を取得。テイラーは1929年に創設されたプリンスオブウェールズステークスを整備し、ウッドバイン競馬場のクイーンズプレートとブリーダーズステークスと合わせてカナダ競馬の三冠競走体系を提唱しました。カナダ産馬限定競走であるため国際的な格付けはありませんが、三冠競走の重要な一戦として、数多くの良馬を集め、現在までに6頭の三冠馬を輩出するなど、カナダ競馬界において重要な役割を担っています。

2012年には一時、閉鎖の危機に瀕しましたが、関係者の尽力によって存続が決定。現在もその歴史と伝統を守りながら、競馬ファンのために運営されています。

コースの特徴：左回りの個性

フォートエリー競馬場のコースは全て左回りです。外側はダートコースで、一周1マイル（約1609メートル）、コース幅は約23メートル、最後の直線は約323メートルという構成です。内側は芝コースで、一周7ハロン（約1408メートル）、最後の直線は約283メートルとなっています。

コースの内側には3つの池があり、1961年には競走馬が池に飛び込むという珍しい出来事が発生しています。この出来事を記念して、「プスンブーツステークス」という競走が設けられ、優勝馬の馬主や騎手が池に飛び込む恒例行事も行われています。

プリンスオブウェールズステークス：カナダ競馬の頂点

フォートエリー競馬場最大のイベントは、カナダ三冠競走の第2戦であるプリンスオブウェールズステークスです。カナダ産馬限定の競走で国際的な格付けはありませんが、カナダ競馬界においては非常に権威のある競走として位置づけられています。この競走を制した馬は、カナダ競馬史にその名を刻むことになります。

未来への展望

フォートエリー競馬場は、歴史と伝統、そしてスリルと興奮が詰まった競馬場です。閉鎖の危機を乗り越え、現在もカナダ競馬界の中心として存在感を示しています。今後も、カナダの競馬文化を象徴する存在として、その発展が期待されます。

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