フョードル・ウシャコフ
フョードル・ウシャコフの生涯
フョードル・ウシャコフ（Фёдор Фёдорович Ушако́в）は1745年2月24日に誕生し、1817年10月24日に娑婆を去ったロシア帝国の著名な軍人で、最終的には海軍大将という高い地位に昇進しました。彼はロシア海軍史において影響力を持った指揮官の一人で、特に海戦における戦術革新で知られています。
幼少期と教育
ウシャコフはモンゴル系の貴族の家庭に生まれ、幼少期から特異な才能を見せました。彼は1766年に海軍兵学校に入学し、厳格な訓練を受けて海軍士官としての道を歩み始めました。当時のロシア海軍は、ピョートル1世の死後に衰退していましたが、エカチェリーナ2世による復興の取り組みが進んでいました。
海軍でのキャリア
ウシャコフは海軍の復興に貢献することを使命として、部隊の管理や艦艇の整備を徹底的に進めました。彼はまた、従来の単縦陣による並行砲戦に代わって、敵艦列を突破する新たな戦術を取り入れることで、海戦の戦略を一新しました。この革新はホレーショ・ネルソンが後に採用することとなる技術であり、ウシャコフの軍事的視野の広さを示しています。
1787年から1792年にかけての露土戦争では、黒海艦隊を指揮し、オスマン帝国海軍と数度にわたる戦いを繰り広げました。特に1790年のテンドラ島沖海戦およびカリアクラ岬海戦では、オスマン艦隊に対して勝利を収め、黒海でのロシアの制海権を確立しました。これにより、彼は1790年からロシア海軍の総司令官に任命されることとなります。
さらに、ウシャコフはフランス革命戦争にも関与し、1798年から1800年には艦隊を率いて地中海へ進出。イタリア戦線のロシア陸軍に対しても協力を行い、戦略的な勝利を収めました。彼はドミトリー・セニャーウィンと共に、この時期のロシア海軍の中でも特に優れた軍人として評価されています。
晩年と死
1800年、ウシャコフは地中海から黒海に戻り、その際に大将に昇進しました。しかし、翌年に即位したアレクサンドル1世には嫌われ、キャリアの最後は不遇なものとなりました。彼は1817年にこの世を去りましたが、彼の業績はその後も語り継がれています。
死後の評価
ウシャコフは、その生涯を通じて幾多の功績を残し、2000年にはロシア正教会によって聖人に列せられることが決定されました。翌2001年8月には、正式に彼が守護聖人として認められ、海軍の軍人でありながら聖人としても崇拝される存在となりました。彼の名は今もロシア海軍の誇りと愛国心の象徴として称えられています。
参考文献
- - 青木栄一『シーパワーの世界史（1）』出版協同社、1982年。
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