フランク・ロソリーノ

フランク・ロソリーノ（Frank Rosolino、1926年8月20日 - 1978年11月26日）は、卓越した技術を持つアメリカのジャズ・トロンボーン奏者として知られています。

彼の音楽キャリアは、出身地であるミシガン州デトロイトから始まりました。初期には、ボブ・チェスター、グレン・グレイ、トニー・パスター、ハービー・フィールズ、ジーン・クルーパ、スタン・ケントンといった著名なリーダーが率いるビッグバンドの一員として腕を磨きました。特にスタン・ケントン楽団での経験は、彼の演奏スタイルに大きな影響を与えたと考えられています。

スタン・ケントン楽団を離れた後、ロソリーノはカリフォルニア州ロサンゼルスに移り住み、そこに拠点を構えました。1954年から1960年にかけては、ハワード・ラムゼイ率いるライトハウス・オールスターズに参加し、ハモサ・ビーチにある有名なライブハウス「ライトハウス」での活動を通じて、ウェストコースト・ジャズシーンで重要な役割を果たしました。

1960年代から1970年代にかけて、ロサンゼルスはスタジオミュージシャンにとって一大拠点であり、ロソリーノもその中心で精力的に活動しました。映画音楽やテレビ番組、商業レコーディングなど、幅広い分野でその才能を発揮。フランク・シナトラ、サラ・ヴォーン、トニー・ベネット、ペギー・リー、メル・トーメ、ミシェル・ルグラン、クインシー・ジョーンズといった、ジャズ界のみならず、ポップス界やショービジネス界の錚々たるアーティストたちのレコーディングに数多く参加し、共演者として厚い信頼を得ていました。

この時期、彼は同業者であるマイク・バローネと共に「トロンボーン・アンリミテッド」名義でも活動しました。現代のヒット曲をポップス寄りのアレンジでカバーしたアルバムを制作し、1968年には『Grazing in the Grass』といった作品をリバティ・レコードから発表するなど、商業的な側面でも成功を収めました。

音楽活動に加え、ロソリーノは映像作品にも登場しています。1957年の映画『成功の甘き香り』や、1958年の映画『私は死にたくない』では、ドラマーのシェリー・マン率いるグループと共に演奏する姿を見ることができます。テレビの世界でもその存在感を示し、『スティーヴ・アレン・ショー』にはレギュラー出演。『ザ・トゥナイト・ショー』や『マーヴ・グリフィン・ショー』といった人気番組でもゲストとしてその演奏を披露しました。

楽器の腕前だけでなく、ロソリーノは才能あふれるボーカリストでもありました。特に、ジーン・クルーパ楽団時代のヒット曲「Lemon Drop」におけるエネルギッシュで創造的なスキャットは彼の代名詞の一つとなり、多くのファンを魅了しました。

1970年代に入っても、ロソリーノは精力的な活動を続けました。クインシー・ジョーンズとの共演は続き、また、グラミー賞を受賞したサックス・アンサンブルであるスーパーサックスとも共演やツアーを行いました。

しかし、輝かしい音楽キャリアの裏で、ロソリーノは私生活において深刻な問題を抱えていました。3番目の妻が自殺するという悲劇に見舞われ、その死に打ちひしがれた末、1978年11月26日、自らの幼い息子二人を銃撃し、一人を死亡させ、一人に重傷を負わせました。その後、彼は自ら命を絶ちました。この痛ましい出来事により、ジャズ界は偉大な才能を失うこととなりました。

彼の残した功績は、数多くの録音や共演者たちの記憶の中に今も生き続けています。特にトロンボーン奏者としての卓越した技術と、陽気な人柄から生まれるエンターテイメント性、そしてボーカリストとしてのユニークな才能は、多くの音楽ファンや後進のミュージシャンに影響を与えています。

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