フリードリヒ・アルブレヒト・ツー・オイレンブルク

フリードリヒ・アルブレヒト・ツー・オイレンブルク伯爵（Friedrich Albrecht Graf zu Eulenburg, 1815年6月29日 - 1881年6月2日）は、19世紀のプロイセン王国において、外交官、政治家として重要な役割を果たした人物です。特に、オイレンブルク使節団を率いて日本を訪れ、日普修好通商条約を締結したことで知られています。彼の生涯と業績について詳しく見ていきましょう。

生い立ちと初期の経歴

1815年、ケーニヒスベルクで生まれたオイレンブルクは、ケーニヒスベルク大学とボン大学で法律学を学びました。父はフリードリヒ・レオポルド・ツー・オイレンブルク伯、母はフォン・クライスト家の出身という、由緒ある家柄でした。大学卒業後は、オッペルンの政府機関やベルリンの官庁に勤務し、行政官としての経験を積みます。そして1852年、アントウェルペンの総領事に任命され、外交官としてのキャリアをスタートさせました。

オイレンブルク使節団

オイレンブルクの名を歴史に刻んだのは、プロイセンの海外貿易拡大を背景とした東アジアへの使節団派遣です。彼はその代表に選ばれました。1859年10月、コルベット艦アルコーナ号に乗り、日本、中国、タイに向けて出発。1860年9月4日、江戸湾に到着しました。9月14日には、老中安藤信正との間で初の会談が行われ、通訳としてオランダ系アメリカ人のヘンリー・ヒュースケンが参加しました。

交渉は順調に進むかに見えましたが、1861年1月15日、ヒュースケンが薩摩藩士に襲撃され、翌日死去するという事件が発生します。しかし、この事件が条約締結に与える影響は小さく、1月24日には日普修好通商条約が締結されました。この条約は、イギリスとの条約をベースにしたもので、他の欧米列強と同様の不平等条約であったとする見方もあります。同年9月には清国とも、天津条約と同様の修好通商条約を締結しました。日本では、交渉担当者であった堀利煕が謎の自殺を遂げたため、後任の村垣範正が条約締結にあたることになりました。

プロイセン内相

帰国後の1862年12月8日、オイレンブルクはプロイセン内相に任命されます。1864年と1866年の行政区域拡大に伴い、旧区域での包括的な行政改革を試みましたが、西部ではカトリック、東部では自由主義者の抵抗に遭い、成果を上げることはできませんでした。

エムス電報事件と辞任

普仏戦争直前の1870年7月13日、オイレンブルクはバート・エムスで療養中のヴィルヘルム1世に随伴し、フランス外交官ベネデッティ伯爵との交渉に立ち会いました。その内容がビスマルクに送られ、改竄された上で公表されたエムス電報事件は、普仏戦争の引き金となりました。その後、ビスマルクとの関係が悪化したこともあり、1878年11月30日に内相を辞任。後任には甥のボート・ツー・オイレンブルクが就任しました。

死去と家族

1881年6月2日、オイレンブルクは生涯を閉じました。彼は成人した子供の中で最年長でしたが、生涯未婚で子供はいませんでした。甥には、内相の後を継いだボート・ツー・オイレンブルクの他に、フィリップ・ツー・オイレンブルク侯がいます。

叙勲

* 赤鷲章二等騎士 (1862年)

フリードリヒ・アルブレヒト・ツー・オイレンブルク伯爵は、プロイセンの外交と政治において重要な役割を果たした人物であり、特に日本との条約締結は、両国の関係に大きな影響を与えました。

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