フレジュス鉄道トンネル

フレジュス鉄道トンネルについて

フレジュス鉄道トンネル（イタリア語: Galleria del Frejus、フランス語: Tunnel du Fréjus）は、アルプス山脈のフレジュス峠を貫通する鉄道トンネルで、イタリア・フランス国境を結んでいます。このトンネルは、トリノからシャンベリを経てリヨンやパリ方面へ至る鉄道路線の重要な部分を形成しています。トンネルのイタリア側入口はピエモンテ州トリノ県のバルドネッキア、フランス側入口はローヌ＝アルプ地域圏サヴォワ県のモダーヌに位置しています。

このトンネルは1871年に開通し、当時の全長は12,220mであり、1882年に開通したゴッタルド鉄道トンネルまでの間、世界最長の鉄道トンネルとされていました。1980年には、フレジュス道路トンネルも開通しています。

トンネルの構造と特徴

フレジュス鉄道トンネルは、全長13,688mで複線として設計されており、直流3000Vで電化されています。トンネルのほぼ中央にはイタリアとフランスの国境があります。線路の管理は国境を挟んで分かれているものの、トンネル内を運行する列車は主にイタリアの国鉄であるトレニタリアが行っています。また、トンネル内の最高地点は、イタリア側に偏っており、標高は1,298mです。

トンネルのイタリア側の出口は標高1,258m、フランス側は1,130mです。トンネル内部の勾配は、フランス側から22.2パーミル（最大28パーミル）、イタリア側からは0.5パーミル（坑口部最大30パーミル）となっています。

施工の歴史

このトンネルの建設計画は1850年代に始まりました。当時、アルプスを越える鉄道が必要とされており、フレジュス峠を通るルートが選ばれました。工事は1857年に始まり、技術者ジェルマン・ソメイイェが指導しました。建設初期の掘進は人力に依存していましたが、圧縮空気を用いた削岩機の導入により効率が大きく向上しました。

トンネルが貫通したのは1870年のことで、わずかに水平方向に40cm、垂直方向に60cmのずれがありましたが、これは当時としては小規模なものでした。トンネルは1871年に開通し、最初の国際旅客列車も運行されましたが、当初は蒸気機関車の使用によってトンネル内の煙の問題が発生し、排煙対策も講じられました。1915年には電化が完成し、これにより排煙問題は根本的に解決されました。

近年の改修とその影響

2002年から両国はトンネルとその周辺の改修を進めており、特に車両の通過制限の拡大が目指されています。この工事は輸送の効率化や安全性の向上を目的としています。さらに、フレジュス鉄道トンネルは、フランスと東ヨーロッパを結ぶ重要な交通路としての役割も持っています。

旅客と貨物輸送

2009年の時点で、フレジュス鉄道トンネルを利用する主要な旅客列車には、TGVやナイトトレインがあります。また、トンネルは貨物輸送路としても利用されており、イタリアとフランスの間の貿易を支える役割を果たしています。このように、フレジュス鉄道トンネルは、歴史的にも現在においても交通の要所として重要な存在です。

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