フレディ・リム

フレディ・リム（林昶佐）

フレディ・リム（Freddy Lim、本名：林昶佐（りん・ちょうさ）、1976年2月1日 - ）は、台湾・台北市出身の政治家であり、ヘヴィメタルミュージシャンとしても知られています。彼は、台湾のブラックメタルバンド、ソニックの結成メンバーであり、ヴォーカル兼二胡奏者として活躍しています。また、台湾最大級のロックフェスティバル、「野台開唱（FORMOZ FESTIVAL）」の発起人の一人でもあります。

来歴

1995年、台北大学在学中に高校や大学の友人とともにソニックを結成し、音楽活動を開始しました。2010年には、アムネスティ・インターナショナル台湾の支部長に就任し、音楽活動と並行して人権活動にも尽力しました。支部長就任後、バンドのリーダーの座をベーシストのドリス・イエに譲っています。

2012年には、元メガデスのマーティー・フリードマンとともに、ももいろクローバーZのヘヴィメタル・カバー・プロジェクト、鉄色クローンXを結成し、アルバムをリリースしました。このプロジェクトは、フレディ自身がももいろクローバーZのファンであったことがきっかけで実現しました。

私生活

妻は、ソニックのベーシスト兼リーダーであるドリス・イエであり、2004年に結婚しました。日本の漫画を愛好しており、多数のコレクションを所有しています。また、聖闘士星矢のアニメテーマ「ペガサス幻想」をカバーしたこともあります。李登輝学校の卒業式では、李登輝とともに漫画「魁!!男塾」のコスプレを披露しました。

野球ファンとしても知られ、台湾のプロ野球チーム「兄弟エレファンツ」のファンです。始球式にメンバー全員で登場し、投球を行ったこともあります。

政界

ひまわり学生運動では、「台湾魂」と書かれた横断幕を掲げた立法院で応援演説を行い、学生たちを鼓舞しました。この運動をきっかけに、2015年1月25日に時代力量が成立すると、その創設メンバーとなりました。2016年、第9回中華民国立法委員選挙にて台北市第五選挙区から立候補し、当選を果たしました。

2019年に時代力量を離党しましたが、2020年の第十回中華民国立法委員選挙では無所属で出馬し、再選を果たしました。この選挙では、ソニックのライブに蔡英文総統が参列したり、選挙区に民進党の候補が擁立されなかったことなどが追い風となりました。2016年の当選後には、ひまわり運動の参加者であった頼品妤を議員助手として迎え入れ、2020年の選挙では、頼品妤も民主進歩党から出馬し初当選。師弟関係にある二人が立法院で共に活動することになりました。

2023年3月、家族の難病を理由に、翌年の立法委員選挙への不出馬を表明。同年11月には、民主進歩党に入党しました。

政治思想

フレディは、「民主化が急速に進展した1990年代から台湾史に興味を持ち、多くの本を読んだ」と述べており、その過程で台湾独立を志向するようになりました。中国国民党を批判する立場を取っています。

親日家としても知られており、議員会館事務所にはキン肉マンやドラゴンボールなどの模型が飾られています。日本の漫画、映画、テレビドラマを楽しみ、アイドルの歌を聴くなど、日本文化に親しんでいます。日本に対しては、「台日の民間関係は非常に良好だが、日本政府も国際社会の公式な場で台湾をより積極的に応援してほしい。台湾の現在の孤立には、日本にも歴史的な責任があると思う」と述べています。

格差是正や貧困の解消といった社会的公正を訴えるなど、左派的な思想の持ち主としても知られています。アムネスティ・インターナショナルでの活動を通じて、チベットやウイグルの解放を訴え、中国政府を批判しています。また、死刑制度にも反対しています。フレディの議員会館事務所の壁には、ダライ・ラマ14世の肖像画が飾られています。

脱原発を訴えており、李登輝学校の第一期生でもあります。2016年9月には、ダライ・ラマ14世とダラムサラで会談し、立法院での演説を依頼しました。また、チベット支援のための超党派議員連盟の設立を呼びかけました。

2016年10月には、「中国寄りの中国国民党が衰退すれば、10年以内に時代力量と民進党の競争が始まる可能性もある。良きライバル同士になりたい」と述べています。在外同胞に関しては、台湾地域出身者のみを支援するべきであるという考えを示しています。

政界での評価

時代力量の立法委員であるカウロ・イユン・パチダルは、フレディを「台湾、若者、先住民を思いやり、正しいと思えば、がむしゃらに突き進む。その行動力はすごい」と評しました。元文化部部長の鄭麗君（民進党）は、フレディの再選を支持し、「フレディの政治への情熱は議員だけを職業としている他の政治家にも劣らない」と評価しました。

立委評鑑

社団法人公民監督国会聯盟による立法委員評価では、第9期（2016-2020）の8会期中5会期、第10期（2020-）の3会期中1会期で、通算6度「優秀委員」の評価を獲得しています。

選挙記録

2022年には、台北市議の鍾小平（中国国民党）によってリコール投票が提議されましたが、投票の結果、リコールは不成立となりました。

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