ブエルタ・ア・エスパーニャ2010

ブエルタ・ア・エスパーニャ2010：激闘の記録と栄光の軌跡

ブエルタ・ア・エスパーニャ2010は、2010年8月28日から9月19日にかけて開催された、第65回目の記念すべき大会です。グランツール初となるナイトチームタイムトライアルで幕を開け、スペインの灼熱の気候を考慮した異例のスケジュールは、波乱の幕開けを予感させました。

大会プレビューとコースレイアウト

出場チームは22に決定。チーム・レディオシャックが招待されなかったことが話題となりました。コースレイアウトは序盤から山岳ステージが連続し、気の抜けない展開が続きました。特に、休息日前の3連続山頂フィニッシュは総合争いを大きく左右するポイントとなりました。個人タイムトライアルは1度のみでしたが、46kmと距離が長く、クライマーにとっては大きな試練となりました。最終決戦の舞台はボラ・デル・ムンド。平均勾配6.3%ながら、ラスト3kmは平均12%+MAX20%という激坂が選手たちを待ち受けました。

総合争いの展望

前年のトップ3が不在の中、混戦が予想されました。注目はジロ・デ・イタリアで3位に入賞したヴィンチェンツォ・ニバリと、これがラストランとなるロマン・クロイツィガーのリクイガスコンビ。対抗にはイゴル・アントン、ホアキン・ロドリゲス、エセキエル・モスケラ、フランク・シュレクらが挙げられました。ベテランのデニス・メンショフやカルロス・サストレは、三大ツール全出場という過酷なスケジュールが影響し、苦戦が予想されました。

ポイント賞争いの行方

世界選手権がスプリンター有利と見られていたため、マーク・カヴェンディッシュ、アレッサンドロ・ペタッキ、タイラー・ファーラーなど、一流のスプリンターが集結。カヴェンディッシュはツール・ド・フランスでの雪辱を期し、ポイント賞獲得を目指しました。しかし、山岳コースが多いブエルタと、リードアウト役のマシュー・ゴスとの連携が鍵となりました。

山岳賞争いの展望

ダヴィ・モンクティエが3年連続の山岳王を目指し、大本命と目されました。エゴイ・マルティネス、ヨハン・チョップらが対抗馬として挙げられましたが、モンクティエの牙城を崩すのは容易ではありませんでした。

レース展開と最終結果

初日のナイトチームTTはチーム・HTC - コロンビアが制し、カヴェンディッシュが初代マイヨ・ロホに。その後、ジルベール、アントンらがマイヨ・ロホを奪い合う展開となりました。アントンは落車リタイアという悲劇に見舞われましたが、ニバリが総合優勝を手にしました。カヴェンディッシュはポイント賞を獲得し、モンクティエが山岳賞3連覇を達成しました。

個人総合優勝：ヴィンチェンツォ・ニバリ（リクイガス・ドイモ）
ポイント賞：マーク・カヴェンディッシュ（チーム・HTC - コロンビア）
山岳賞：ダヴィ・モンクティエ（コフィディス）
コンビネーション賞：ヴィンチェンツォ・ニバリ（リクイガス・ドイモ）
* チーム時間賞：チーム・カチューシャ

大会レビューとトピック

ニバリは安定した走りで初のグランツール総合優勝を達成。モスケラは総合2位、ヴェリトスは総合3位と大健闘しました。カヴェンディッシュは念願のポイント賞を獲得し、ファーラーもステージ2勝を挙げるなど、スプリンターの活躍が目立ちました。また、チームスカイは体調不良者が続出し、マッサーが急死するという悲劇に見舞われました。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2010は、記憶に残る激闘と感動に満ちた大会となりました。

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