ブライアン・ラムレイ

ブライアン・ラムレイ（1937年12月2日-2024年1月2日）は、イギリスを代表するホラー小説家です。ダラム郡ホーデンに生まれ、少年時代にクトゥルフ神話作品との出会いをきっかけに、その世界に深く傾倒しました。

ラムレイは、1959年から1980年にかけてイギリス陸軍に所属していましたが、軍務の傍ら創作活動を行い、独自のダークファンタジー世界を構築しました。彼の才能はオーガスト・ダーレスに見出され、1968年、『アーカム・コレクター』誌に掲載された『深海の罠』で小説家デビューを果たします。

1971年には、初期作品を集めた『黒の召喚者』をアーカム・ハウス社から刊行。その後、オカルト探偵タイタス・クロウを主人公とする一連の中短編を発表し、高い評価を得ます。1975年からは長編小説の執筆も開始し、独自の邪神やクリーチャーを創造した独自のクトゥルフ神話的宇宙を展開しました。ラムレイ作品に登場する邪神には、シュド＝メル、イブ＝ツトゥル、バグ＝シャース、クタニドなど、個性豊かな存在がいます。

日本では、タイタス・クロウ・サーガに属する6作品を含むいくつかの作品が翻訳されています。これらには、『地を穿つ魔』『タイタス・クロウの帰還』『幻夢の時計』『風神の邪教』『ボレアの妖月』『旧神郷エリシア』といった長編作品が含まれます。他に未翻訳の長編や、タイタス・クロウが登場しないクトゥルフ神話作品、ヒロイックファンタジー作品など、多くの作品を残しています。

ラムレイの代表作として広く知られるのが、『ネクロスコープ』シリーズです。吸血鬼をテーマとしたこのシリーズは、英語圏ではクトゥルフ神話関連の作品よりも高く評価されており、日本では『ネクロスコープ　死霊見師ハリー・キーオウ』として翻訳・刊行されています。この作品は、死霊と対峙する主人公ハリー・キーオウの活躍を描いた、他に類を見ないダークファンタジーです。

短編集では、『黒の召喚者』と『タイタス・クロウの事件簿』が翻訳されています。『黒の召喚者』には、「自動車嫌い」「深海の罠」「縛り首の木」など、初期の代表作が収録されています。一方、『タイタス・クロウの事件簿』は、タイタス・クロウを主人公とする短編集で、「妖蛆の王」「黒の召喚者」「海賊の石」といった魅力的な作品が収録されています。他にも多くの未翻訳作品があり、ラムレイの創造力は尽きることがありませんでした。

ラムレイは、イギリスホラー作家協会の会長も務め、その功績は広く認められています。ラムレイの作品は、クトゥルフ神話や吸血鬼を題材としながらも、独自のダークな世界観と緻密な描写で多くの読者を魅了し続けています。彼の作品は、現代ホラー文学に多大な影響を与え、その存在はこれからもホラーファンに語り継がれていくでしょう。

なお、ラムレイの作品は、ウィリアム・H・ホジスンやアルジャーノン・ブラックウッドといった古典的なホラー作家からの影響を受けていると見られています。『斬魔大聖デモンベイン』という作品では、主人公の名前がタイタス・クロウに由来しているなど、後世の作家にも影響を与えています。

もう一度検索