ブラジル民主運動党

ブラジル民主運動党（PMDB）

ブラジル民主運動党（Movimento Democrático Brasileiro、略称PMDB）は、ブラジルにおける重要な政党の一つです。中道の政治的立場をとり、保守から左派に至るまで広範な支持層を持つことが特徴です。1979年に、軍事政権下の「体制内野党」としての活動を背景に、反軍政勢力が結集して設立されました。1980年12月の設立以来、PMDBはブラジルの民主化に向けた社会的、政治的な貢献に重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景と活動

PMDBは、1985年にタンクレード・ネーヴェスを大統領に選出し、21年ぶりに文民政権を復活させましたが、ネーヴェスは就任直後に亡くなりました。1986年の選挙では、議会で過半数の議席を確保し、州知事選でも圧勝を果たしました。しかし、その後の1988年に党内の左派が分裂し、ブラジル社会民主党が結成されました。

1992年には、以前の大統領コロールが弾劾され、副大統領であったイタマール・フランコが新たに大統領に就任しました。以降、PMDBは1990年代以降、ジョゼ・サルネイ、フランコ、フェルナンド・カルドーゾの政府の与党として活動を続けてきました。その後も、ルーラ政権やジルマ・ルセフ政権の与党として、新自由主義政策や再分配政策に対応してきました。

最近の状況

2015年には下院議長のエドゥアルド・クーニャが汚職疑惑で起訴され、これは党にとって大きな試練でした。続けて、2016年にはルセフ大統領の弾劾手続が進行中に、PMDBは連立政権からの離脱を決定しました。この結果、ミシェル・テメルが大統領に就任し、PMDBは政権の中心的な役割を果たすこととなりました。

政策と理念

PMDBはその基本的なスタンスを中道に置きつつ、特定のイデオロギーに縛られずに広範な政治的立場を取り入れています。そのため、時の政権に応じて柔軟な姿勢を保ち、新自由主義から左派の分配政策までを受け入れてきました。このシンクレティズム的なアプローチにより、PMDBは民主化以降のブラジル政治において、ほぼずっと与党の地位を維持しています。カリスマ的な指導者を持たずとも、その包括性と柔軟さが党の強みとなっています。

結論

ブラジル民主運動党は、ブラジルの政治史において重要な役割を果たしてきた政党です。幅広い支持層を持つこの政党は、様々な時代に適応しつつ、国家の政治的な風土を形成してきました。これからもPMDBは、ブラジルの民主主義における影響力のある存在であり続けることが期待されています。

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