ブラッシャイ

ブラッサイ（Brassai, 1899年9月9日 - 1984年7月8日）は、オーストリア＝[[ハンガリー帝国]]出身の写真家であり、パリを拠点に活動しました。本名はハラース・ジュラ（Halász Gyula）といい、ハンガリーとフランスの国籍を持ちます。彼は、ヘンリー・ミラーやジャック・プレヴェールといった芸術家たちと交流し、「夜のパリ」をテーマに、独特な視点で社会の裏側や人々の生活を捉えました。

生涯

ブラッサイは、現在のルーマニア領であるトランシルヴァニア地方のブラショフ（当時オーストリア＝[[ハンガリー帝国]]領）で生まれました。父親はソルボンヌ大学で文学を教える教育者であり、幼少期には父親の仕事の関係でパリに滞在した経験を持ちます。ブダペストで美術を学んだ後、第一次世界大戦に従軍。戦後はベルリンでジャーナリストとして活動し、1924年にパリへ移住しました。パリでは写真家としての才能を開花させ、独自のスタイルを確立しました。

写真家としての活動

ブラッサイは、「夜のパリ」を主な舞台とし、そこで生きる人々、特に娼婦や恋人たちの姿を多く撮影しました。彼の作品は、単なる記録写真ではなく、被写体の内面や感情までも捉えていると評価されています。また、パブロ・ピカソやアルベルト・ジャコメッティ、アンリ・マティスといった同時代の芸術家たちとも親交があり、彼らのポートレートも数多く残しました。これらの写真は、芸術家たちの素顔や創造の源泉を垣間見ることができる貴重な資料となっています。

日本との繋がり

ブラッサイは、日本の芸術家とも交流がありました。特に、岡本太郎とはパリ留学中からの親交があり、岡本はブラッサイの写真を高く評価していました。岡本の尽力により、1977年にはみすず書房から写真集『未知のパリ・深夜のパリ』が刊行され、日本の写真愛好家にも広く知られるようになりました。

名前の由来

「ブラッサイ」という名前は、彼の出身地であるブラショフに由来します。故郷への愛着と誇りを込めて、自らの姓として名乗るようになりました。フランス語の発音に合わせて「Brassaï」と表記されることもあります。

主な日本語文献

『語るピカソ』（飯島耕一・大岡信訳、みすず書房、1968年）
『未知のパリ・深夜のパリ－1930年代』（飯島耕一訳、みすず書房、1977年）
『作家の誕生 ヘンリー・ミラー』（飯島耕一・釜山健訳、みすず書房、1979年）
『ブラッサイ 夜のパリ』（飯島耕一訳、みすず書房、1987年）
『ブラッサイ わが生涯の芸術家たち』（岩佐鉄男訳、リブロポート、1987年）
『やさしいパリ』（窪田般彌訳、リブロポート、1991年）
『プルースト／写真』（上田睦子訳、岩波書店、2001年）
『ブラッサイ写真集成』（アラン・サヤグ／アニック・リオネル＝マリー編、堀内花子訳、岩波書店、2005年）

ブラッサイの作品は、パリの光と影、そしてそこに生きる人々の息遣いを鮮やかに捉えています。彼の写真は、単なる記録を超え、時代を超えて私たちに語りかけてくる力強いメッセージを持っています。

もう一度検索