ブランドフォード系

ブランドフォード系は、20世紀初頭のイギリスで活躍した名種牡馬ブランドフォードを始祖とするサラブレッドの父系です。ブランドフォードは、低い受胎率にもかかわらず、1924年の供用開始から数々の活躍馬を輩出しました。その代表的な功績として、4頭のダービーステークス優勝馬を送り出したことが挙げられます。さらに、イギリスとフランスでリーディングサイアーを獲得するなど、その卓越した能力を証明しました。

ブランドフォードの成功は、彼の産駒たちが種牡馬としても成功したことにより、さらに拡大しました。その血統はヨーロッパにとどまらず、アメリカ合衆国や日本など世界中に広がり、多くの競走馬の血統に影響を与えました。特に、日本で成功を収めた種牡馬プリメロとその子孫は、1950年代まで日本の競馬界で活躍し続けました。プリメロの活躍は、ブランドフォード系の血統が異国の地においても成功を収めることができることを示す、重要な事例と言えます。

時代が進むにつれて、ブランドフォード系の血統は主流から外れていきました。しかし、その影響力は完全に消え去ったわけではありません。バーラム系と呼ばれる系統では、ドイツで活躍したモンズーンが大きな成功を収めました。モンズーンの産駒は、ドイツダービー優勝馬であるSamum（独リーディングサイアー）、BCターフ優勝馬であるシロッコ、メルボルンカップ優勝馬であるProtectionis、そしてキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなどGI競走を4勝したノヴェリストなど、数々の名馬を生み出しました。ノヴェリストは日本にも輸出され、活躍しました。

南米においても、アリシドンの子孫はFitzcarraldoなどを経て、土着血統としてその血脈を繋いでいます。また、例外的な事例として、マームードの子孫であるMilkieは、サラブレッドでは珍しい月毛（パルミノ）という毛色を受け継いでおり、乗馬用途で現在もその血統が残されています。

2020年代のヨーロッパでは、モンズーン系が主に障害競走用の種牡馬として人気を集めています。平地競走で活躍したMaxios、Vadamos、Getawayなども、障害競走用の種牡馬として供用されており、毎年100頭から200頭を超える牝馬を集めています。これは、ブランドフォード系の血統が、時代や競走の種類を超えて、その能力を維持していることを示しています。

このように、ブランドフォード系は、その起源から現代まで、世界中の競馬界に多大な影響を与えてきました。高い能力を持つ種牡馬を輩出し、数々の名馬を生み出し、その血統は時代を超えて受け継がれ、現代でもその影響力を発揮しています。ブランドフォード系の歴史をたどることは、サラブレッドの歴史、そして競馬そのものの歴史を理解する上で非常に重要なことです。 ブランドフォード系は、競馬の歴史の中に、深くそして確実に刻み込まれた血統と言えるでしょう。

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