ブリッグの定期市

ブリッグの定期市

「ブリッグの定期市」（Brigg Fair）は、イングランドの美しい民謡です。この曲は、パーシー・グレインジャーによる合唱編曲と、フレデリック・ディーリアスが作曲した管弦楽のための変奏曲として、広く親しまれています。

グレインジャーの合唱編曲

20世紀初頭、民族音楽研究家でもあったグレインジャーは、イングランド各地を巡り、現地の民謡を収集していました。彼は蝋管録音機を手に、各地の民謡を記録し、編曲することをライフワークとしていました。1905年4月、彼はノース・リンカンシャーのブリッグで開かれた祭りを訪れ、そこで民謡歌手ジョゼフ・テイラーが歌う「ブリッグの定期市」を録音しました。この貴重な録音は現在も販売されており、入手可能です。

グレインジャーはすぐにこの歌の編曲に取り掛かり、5部の合唱とテノールの独唱による無伴奏歌曲として完成させました。テイラーが覚えていたのは2節のみだったため、グレインジャーは曲の規模を大きくするために、他の2つの歌曲（「Low down in the broom」と「The Merry King」）から3節を加えています。ドリア旋法で歌われるこの曲は、どこか物悲しさを感じさせますが、歌詞は愛に関する喜びに満ちています。グレインジャーの編曲は、古風な趣を残しつつも、和声においては創造的な解釈が施されています。

この歌には、テイラーと彼の家族によるものを含め、いくつかの異なるバージョンが存在します。以下は、グレインジャー版の歌詞の一部です。

It was on the fifth of August-er' the weather fine and fair,

Unto Brigg Fair I did repair, for love I was inclined.

I rose up with the lark in the morning, with my heart so full of glee,

Of thinking there to meet my dear, long time I'd wished to see.

I took hold of her lily-white hand, O and merrily was her heart:

"And now we're met together, I hope we ne'er shall part".

For it's meeting is a pleasure, and parting is a grief,

But an unconstant lover is worse than any thief.

The green leaves they shall wither and the branches they shall die

If ever I prove false to her, to the girl that loves me.

ディーリアスの管弦楽編曲

1907年、ディーリアスはグレインジャー版を耳にし、その美しい旋律と編曲に感銘を受けました。彼はグレインジャーに許可を得て、この曲を管弦楽曲として編曲しました。この編曲版は1908年に初演され、現在では管弦楽作品としても広く知られています。曲は、のどかな田園風景を思わせる序奏で始まり、その後、木管楽器がグレインジャーの歌曲の旋律を奏でます。この旋律は様々に変奏され、最後は喜びに満ちた終結を迎えます。

楽器編成
フルート3
オーボエ2
イングリッシュホルン
クラリネット3
バスクラリネット
ファゴット3
コントラ[[ファゴット]]
ホルン6
トランペット3
トロンボーン3
テューバ
ティンパニ
打楽器（バスドラム、トライアングル、チューブラーベル）
ハープ
弦五部

「ブリッグの定期市」は、イングランドの豊かな音楽文化を代表する作品の一つです。グレインジャーとディーリアスという二人の作曲家によって、合唱曲と管弦楽曲という異なる形で編曲され、現在も多くの人々に愛されています。

外部リンク
ディーリアスの「ブリッグの定期市」の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

もう一度検索