ブルセラ症

ブルセラ症の概要

ブルセラ症（英: Brucellosis）は、特定の細菌であるブルセラ属（Brucella）によって引き起こされる感染症です。この病気は、動物から人間へと感染する人獣共通[[感染症]]であり、マルタ熱とも呼ばれます。日本では、ブルセラ症は感染症法に基づく四類感染症および家畜伝染病に指定されており、診断した医師は速やかに保健所へ報告する義務があります。

感染を引き起こす主な病原体としては、Brucella abortus、B. melitensis、B. suis、B. canisの4種があり、最近の研究ではB. pinnipedialisやB. cetiも関与していることが確認されています。日本獣医学会の提言によって、法令上の名称が「ブルセラ病」から「ブルセラ症」に改称されています。

主な感染経路

ブルセラ症の感染経路は主に以下の三つです。
1. 汚染された食品の摂取:
- 感染動物の乳製品、特に非殺菌の牛乳やチーズなどを摂取することで、ヒトに感染します。食品衛生法に基づく加熱によって細菌は無効化されます。
2. 吸入感染:
- 主に研究所等での実験室感染が見られ、日本でも生物兵器としての利用が懸念されています。
3. 皮膚や眼からの感染:
- 死体や流産した動物の胎盤などとの接触が感染原因となることがあります。

特に酪農や獣医業界に従事している人々は、感染リスクが高まります。

病原体の特性

ブルセラ属細菌は、グラム陰性の球状に近い小桿菌で、莢膜や芽胞、鞭毛を持っていません。発育速度が非常に遅く、潜伏期間は2週間から3週間とされています。そして、胞内での増殖が行われるため、感染から症状が出るまでに時間を要します。これらの細菌は、土壌や水中で長期間生存可能であり、そのため動物との接触が非常に影響を与えます。

ブルセラ症の症状

ブルセラ症の感染とは異なり、症状は人によって多様です。一般的には、発熱、発汗、体力低下、頭痛、背部痛、さらには重症化した場合には脳炎や心内膜炎を引き起こすこともあります。また、関節や消化器系にも影響を与えることがあり、全身にさまざまな影響を及ぼすため、注意が必要です。

診断と治療

診断方法としては、主に血液培養が有効です。抗生剤への感受性を鑑みて治療が行われ、必要に応じて複数の抗生剤が用いられます。しかし、細菌が体内に潜伏しているため、再発の可能性もあります。ヒト向けのワクチンは開発中ですが、まだ十分に使用可能なものはありません。

世界的な分布

ブルセラ症は世界中で分布しており、特に地中海地域、西アジア、アフリカ、南アメリカなどが感染症の多発地域です。感染リスクが高い地域では、動物の管理や人々への教育が重要です。

法律と規制

日本では、ブルセラ症は感染症法に基づく四類感染症に指定されており、厳格な規制のもとで監視されています。家庭においてもペットが感染を引き起こす可能性があるため、十分な注意が必要です。

特に犬（Brucella canis）は、日本国内で感染が確認されており、家畜に対する管理が引き続き求められています。日本でも適切な対応が取られ、農業や酪農業の発展を見据えた対策が求められています。

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