ブルハン・シャヒディ

ブルハン・シャヒディ（1894年10月3日 - 1989年8月27日）は、ウイグル族出身の政治家であり、中華民国と中華人民共和国の両時代において重要な役割を果たしました。彼は、中華民国最後の新疆省政府主席であり、中華人民共和国成立後も同省の人民政府主席を務めた人物として知られています。その生涯は、20世紀の中国における民族問題と政治変動を深く反映しています。

生い立ちと初期の活動

ブルハン・シャヒディは、清朝末期の1894年にロシア帝国カザン省で生まれました。彼の両親は、新疆省アクスの出身であり、亡命先のロシアで彼を育てました。彼はカザンの学校で教育を受け、ロシア語を習得し、その後ドイツ語やトルコ語も学んでいます。1912年、彼は新疆省に戻り、1914年に中国国籍を回復しました。1922年には迪化市（現在のウルムチ市）に移り、省税関の役人や自動車局長などの役職を歴任しました。

中華民国での活動

1929年、金樹仁が新疆省政府主席となると、ブルハンは彼の民族差別的な政策に反発し、ドイツへ留学しました。ベルリン大学で学んだ後、1933年に帰国し、金樹仁失脚後の新疆省で阿山宣慰使に任命されました。その後、新疆省の実力者となった盛世才が組織した反帝会や民衆連合会に参加し、要職を務めましたが、1938年には盛世才の命令で逮捕され、1944年まで監禁されました。

釈放後、ブルハンは新疆省民政庁副庁長や迪化行政督察専員を歴任しました。1946年には、張治中が省政府主席となり、三区革命派（東トルキスタン共和国）を取り込んで新疆省連合政府を樹立すると、ブルハンは連合政府副主席に就任し、新疆学院院長も兼任しました。しかし、翌年には副主席の地位を譲り、国民政府委員として南京に移りました。1948年、総統府顧問として新疆に戻り、年末には省政府主席に就任しますが、情勢を打開することはできませんでした。

中華人民共和国での活動

1949年9月26日、ブルハンは起義（反中国国民党蜂起）を行い、中華人民共和国側に転じました。彼は中華人民共和国成立後の新疆省人民政府主席に留任し、1955年の新疆ウイグル自治区成立まで務めました。また、省政治協商会議主席、省民族自治委員会主任委員、省高等法院院長など、新疆省内の要職を歴任しました。中央でも、全国人民代表大会常務委員や中国人民政治協商会議全国委員会副主任などを務めました。外交分野でも、中ソ友好協会や中国インドネシア友好協会、中国エジプト友好協会の会長を歴任しています。学術分野でも、新疆大学校長、中国科学院学部委員兼民族研究所所長などを務めました。

文化大革命と晩年

1966年からの文化大革命では、ブルハンも批判の対象となり、逮捕・監禁されましたが、1976年に釈放されました。その後は、『中国大百科全書』の編集委員や民族古文字研究会の名誉会長などを務めました。1989年8月27日、94歳で北京市にて病没しました。

著作

ブルハン・シャヒディは、以下の著作を残しています。

『論阿古柏政權』
『新疆回憶錄』
* 『新疆五十年』

ブルハン・シャヒディは、激動の時代を生き抜き、民族と政治の複雑な関係の中で、自身の信念を貫いた人物でした。彼の生涯は、現代中国の歴史を理解する上で重要な手がかりとなります。

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