ウルムチ市

ウルムチ市は、中国新疆ウイグル[[自治区]]の首府であり、同自治区の中央部に位置する地級市です。古くは「迪化」と呼ばれていましたが、1953年に現在のウルムチ市に改称されました。この都市は、中央アジアの歴史的地域であるトルキスタン東部に位置し、テュルク系民族が多く居住していました。そのため、文化や経済面で中国東部よりも中央アジア諸国とのつながりが深く、東西交易の拠点として重要な役割を果たしてきました。

地理と気候

ウルムチ市は、天山山脈の北麓に広がるジュンガル盆地の東南端に位置しています。このため、非常に内陸に位置しており、どの海からも2,300km以上離れています。この地理的な特徴から「世界で最も海から遠い都市」としてギネス記録にも認定されています。また、アジア大陸の地理的中心にも近く、「アジアの首都」とも呼ばれています。市内には、アジア49カ国の国旗と文化が描かれた記念の塔があり、観光名所となっています。

気候は、標高約919mの高原にあるため、典型的な内陸性気候を示します。年間を通して乾燥しており、降水量が非常に少ないです。夏は平均気温が24度を超える暑さになりますが、乾燥しているため、朝晩は涼しく過ごしやすいです。一方、冬は平均気温が-12度を下回り、-30度以下になることもあります。雪は少ないものの、一度降ると溶けにくいのが特徴です。

歴史

ウルムチ市の歴史は古く、漢民族と北方遊牧民との間で領有権争いが繰り返されてきました。3世紀には、現在のウルムチ市郊外に淤賴城が築かれました。13世紀以降はモンゴル系民族の遊牧地となり、清朝時代にはジュンガル・ホンタイジ国が支配していました。18世紀後半に清朝がこの地域を制圧し、城壁を築いて「迪化」と名付けました。この名前には、反抗者を教え導くという意味が込められていました。1884年に新疆省が設置されると、迪化は省都となり、その後も変遷を経て、1953年に現在のウルムチ市へと改名されました。「ウルムチ」という名前は、オイラト語で「美しい牧場」を意味します。

行政区画

ウルムチ市は、7つの市轄区と1つの県を管轄しています。市轄区には、水磨溝区、天山区、サイバグ区、新市区、頭屯河区、達坂城区、米東区があります。県はウルムチ県です。これらの行政区画は、歴史的な変遷を経て現在の形になりました。

交通

ウルムチ市は、交通の要所としても重要な役割を果たしています。ウルムチ地窩堡国際空港は、国内外の主要都市を結ぶ定期便が運航されており、日本からの直行便も就航しています。また、鉄道網も発達しており、蘭新線第二複線などの高速鉄道が開通しています。ウルムチ南駅からは、北京や上海などの主要都市への長距離列車が発着するほか、カザフスタンへの国際列車も運行しています。さらに、ヨーロッパへ向かう貨物列車である中欧班列も運行されています。市内には地下鉄も開通しており、都市交通も整備されています。道路網も発達しており、3本の国道が接続しています。

住民

ウルムチ市の住民構成は、漢民族が75％以上を占め、ウイグル族、回族、カザフ族などが続きます。自治区全体と比較すると漢民族の割合が高いことが特徴です。市内には、イスラム教、キリスト教、正教などの宗教施設があり、多様な文化が共存しています。

観光

ウルムチ市には、多くの観光名所があります。中信銀行大廈（旧中天広場）は、市内中心部にある高さ301mの超高層ビルで、中国北西部と中央アジアで最も高い建物です。新疆ウイグル[[自治区]]博物館では、「楼蘭の美女」と呼ばれる女性のミイラが展示されており、人気の観光スポットとなっています。紅山公園は、市中心部にある山で、古廟や政治家の像などがあります。大バザールは、地元の特産品や手工芸品が豊富に揃う市場で、観光客に人気です。また、天山山脈の中腹にある天池は、美しい景観が楽しめる避暑地として知られています。

文化とスポーツ

ウルムチ市は、プロバスケットボールチームである新疆フライングタイガースの本拠地であり、中国プロバスケットボールリーグに所属しています。かつてはサッカークラブも存在しましたが、現在は解散しています。

対外関係

ウルムチ市は、多くの海外都市と姉妹都市提携を結んでおり、国際交流も活発です。姉妹都市には、フィリピンのマライバライ、アメリカのソルトレイクシティ、韓国の烏山市、パキスタンのペシャーワル、タジキスタンのドゥシャンベ、マレーシアのクラン、キルギスのビシュケク、カザフスタンのアルマトイ、ロシアのチェリャビンスク、イランのマシュハドなどが含まれます。

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