ブルン・C91

ブルン・C91：SWC参戦を目指した挑戦

1991年、スポーツカー世界選手権（SWC）のレギュレーション変更により、自然吸気3.5リッターエンジンへの移行が決定しました。翌1992年にはターボエンジンの使用が禁止されることが発表され、各チームは新たなマシン開発にしのぎを削っていました。そんな中、ブルン・モータースポーツはSWC参戦に向け、新たなグループCカー、ブルン・C91の開発に着手しました。

デザインと開発

C91のデザインは、著名なデザイナー、スティーブ・リッジスによって手がけられました。シャシーは軽量かつ高剛性のカーボンモノコック構造を採用。サスペンションは、当時主流であったプッシュロッド式のダブルウィッシュボーンタイプが用いられました。モノコックの製造は、複合材の専門メーカーであるアドバンスト・コンポジット社に委託されました。パワープラントには、信頼性の高いジャッドEV型V8エンジンを搭載。

当時、SWCを席巻していたジャガー・XJR-14、プジョー・905、メルセデスベンツ・C291といった強豪車は、空力性能の向上のためサイドラジエーターを採用していましたが、C91はフロントにラジエーターを配置するという、独自のレイアウトを採用していました。これは、空力特性や冷却効率の面から最適な設計であるとブルン・モータースポーツが判断した結果です。

ブルン・モータースポーツは、C91を他チームにも販売することを視野に入れて開発を進めていました。そのため、様々なエンジンに対応できるよう設計されており、必要に応じてサイドラジエーターへの変更やインタークーラーの追加も容易に行えるように配慮されていました。この柔軟な設計は、C91の大きな特徴の一つと言えるでしょう。

実戦デビューと短い現役生活

C91は1991年のSWC第5戦、ニュルブルクリンクで実戦デビューを果たしました。しかしながら、デビュー戦ではマシントラブルに見舞われ、予選を通過することができませんでした。その後も、マニクール、メキシコ、オートポリスで開催されたレースでは、いずれもリタイアという結果に終わりました。

1992年シーズン、ブルン・モータースポーツはSWCへのエントリーを見送りました。このため、C91はわずか4レースの出場でその短い現役生活を終えることになりました。C91は、高いポテンシャルを秘めたマシンでしたが、開発期間の短さや、信頼性の確保に課題が残ったことが、その短い現役生活の一因と言えるでしょう。

まとめ

ブルン・C91は、SWC参戦という大きな目標を掲げ、短期間で開発された意欲的なマシンでした。その革新的なデザインや柔軟な設計は、他のチームにも大きな影響を与えた可能性があります。しかし、短い現役生活に終わったことは残念な結果と言わざるを得ません。C91の開発を通して得られた技術や経験は、ブルン・モータースポーツの今後の発展に貢献したことは間違いありません。C91の短いながらも輝かしい歴史は、モータースポーツ史に刻まれた一つのエピソードとして、後世に語り継がれることでしょう。

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