プロトケラス科

プロトケラス科 (Protoceratidae)

プロトケラス科は、新生代始新世中期から鮮新世前期にかけて北アメリカ大陸に生息した草食性の偶蹄類です。この科に属する生物は、分類学上は核脚亜目に含まれるとされることもあれば、反芻に近い反芻形類として位置付けられることもあります。これらの動物は、大型の角を持ち、その外観はしばしばシカに似た印象を与えます。

形態的特徴

プロトケラス科の動物は、シカほどの大きさで、偶蹄類としては中型に分類されます。初期のメンバーは角を持たないものが多いですが、プロトケラス亜科に属する後の種では、吻部や後頭部に特有の角が発達しています。特に後期の属「シンテトケラス」では、吻の上部にY字型の角があり、眼窩の上部分にはカーブした一対の角が見られます。これらの角は通常雄において発達し、雌は小さいか持たない特徴があります。また、これらの角は骨の露出したシカの角とは異なり、キリンに似たオッシコーンと呼ばれるタイプのものであるとされます。

臼歯は、ほとんどの属で三日月のような模様を持つ月状歯（セレノドント）で、4つの咬頭を有しています。この歯を使って木の葉などを食べていたと推測されますが、後期の種では高冠歯化している傾向があります。犬歯もやや大きく、唇の外側に先が突き出ています。

初期のプロトケラス科のグループは、四肢の先端に4つの趾を持っていましたが、後期の種では前後ともに二本指に進化しました。

生息環境

プロトケラス科の生物は、主に北アメリカ大陸に生息しており、他の大陸からの化石は確認されていません。彼らは暖かい森林環境を好んで生息していたと考えられていますが、鮮新世の寒冷化や乾燥化に伴い草原が広がる気候には適応できず、最終的には絶滅してしまいました。

分類

プロトケラス科に含まれる主な属は次のとおりです：

• - †Leptotragulinae
• - †Heteromeryx
• - †Leptoreodon
• - †Leptotragulus
• - †Poabromylus
• - †Toromeryx
• - †Trigenicus
• - プロトケラス亜科 (Protoceratinae)

- †Paratoceras
- プロトケラス (Protoceras)
- †Pseudoprotoceras

• - シンテトケラス亜科 (Synthetoceratinae)

- †Kyptoceras
- †Prosynthetoceras
- シンテトケラス (Synthetoceras)
- †シンディオケラス (Syndyoceras)

これらの属は、共通の特徴を持ちながらも、それぞれに独特な特性を持つ多様な種を有しています。

参考文献

富田幸光著、伊藤丙雄・岡本泰子イラストによる『絶滅哺乳類図鑑』(丸善、2002年)を参照しました。ISBN 4-621-04943-7。

関連項目

• - 絶滅した動物一覧

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