プロトン・ウィラ

プロトン・ウィラ：英雄の名を冠するファミリーカー

プロトン・ウィラは、マレーシアの自動車メーカー、プロトンが製造・販売していた自動車です。2世代前の三菱・ランサー/ミラージュをベースに、上級モデルとして開発されました。セダンタイプの「ウィラ サルーン」と5ドアハッチバックセダンの「ウィラ エアロバック」の2つのボディタイプが存在し、長年にわたりプロトンの主力車種の一つとして親しまれました。

デザインと開発

ウィラは、4代目ランサーをベースとしつつも、差別化を図るために、フロントマスクには4代目ミラージュのヘッドライトとバンパーを、リアには4代目エテルナのテールライトを採用しています。ダッシュボードのデザインも独自のものに変更され、フロントグリルもオリジナルのデザインが用いられました。これにより、ランサーとは異なる独特の個性を放つデザインとなっています。

1993年には、5ドアハッチバックセダンの「ウィラ エアロバック」が追加され、ボディタイプの選択肢が広がりました。また同年には、イギリスへの輸出も開始され、プロトン・ペルソナとして販売されました。これは、プロトンが海外市場へ進出する上で重要な一歩となりました。

エンジンとトランスミッション

ウィラのエンジンラインナップは、発売当初、直列4気筒の1.3L SOHC 8バルブ 4G13型、1.5L SOHC 12バルブ 4G15型、1.6L SOHC 16バルブ 4G92型の3種類でした。トランスミッションは、5速マニュアルと3速オートマチックが用意され、1.6Lエンジン搭載車には4速オートマチックが組み合わされました。

1995年のフェイスリフトでは、1.3LエンジンがSOHC12バルブの4G13型に変更されました。また、フロントグリルが新設計となり、テールライトの形状も変更され、リアのウインカーがクリア化されました。これにより、ウィラはより現代的なスタイルへと進化しました。

スポーツモデルとディーゼルモデル

1996年には、APRC（アジアパシフィックラリー選手権）または、WRC（世界ラリー選手権）参戦用のホモロゲーションモデルとして、「EXi」が数量限定で生産されました。このモデルには、直列4気筒1.8L 16バルブ DOHC 4G93型エンジンが搭載され、プロトン車として初のDOHCエンジン搭載車となりました。また、フロントスポイラー、ランエボ1、2用のリアスポイラー、momo製ステアリング、RECARO製シートが装着され、走行性能も大幅に向上しました。

同時に、2L SOHC 4D68型ディーゼルエンジンも追加されました。しかし、このディーゼルエンジン搭載モデルは、2008年の税制改正によって廃止され、プロトン車唯一のディーゼルエンジン搭載モデルとなりました。

モデルライフと後継モデル

ウィラは、1990年代後半と2000年代中頃にもマイナーチェンジが行われ、フロントグリルやバンパー、内装などが変更されました。2004年には、ハッチバックモデルの後継車としてGen-2が、2007年8月にはGen-2をベースとするセダンで、セダンモデルの後継車と目されるペルソナが発売されましたが、ウィラの販売は継続されました。これは、ウィラが依然として市場からの支持を得ていたことを示しています。

2005年には、イランのザグロス・コドロ社がイラン市場向けに、ウィラのノックダウン生産を開始しました。これにより、ウィラは海外市場でもその存在感を示しました。

車名の由来

「WIRA (ウィラ)」という車名は、サンスクリット語で「英雄」を意味します。この名前は、ウィラがプロトンにとって重要なモデルであったことを象徴しています。

まとめ

プロトン・ウィラは、三菱自動車の技術をベースに開発されながらも、独自の個性を確立した自動車でした。セダンとハッチバックの2つのボディタイプ、幅広いエンジンラインナップ、そして数々の改良を経て、長期間にわたり多くの人々に愛されました。その歴史は、プロトンがマレーシアの国民車メーカーとして成長する過程における重要な一章と言えるでしょう。

関連情報

プロトン (自動車)
プロトン・ペルソナ
プロトン・Gen-2
三菱・ランサー
* プロトン 公式サイト

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