プロプラノロール

プロプラノロールについて

プロプラノロール（英: propranolol）は、主に心臓と血管の治療に用いられるアドレナリン作用遮断薬です。この薬は、β1およびβ2受容体をブロックする効果があり、不整脈や高血圧、心筋梗塞などの症状に対して使用されます。薬物は経口で投与されるとほぼ完全に吸収されますが、肝臓での初回通過効果のため、大半は分解されます。そのため、血中濃度が不安定になることがあります。

効能と適応症

プロプラノロールには、以下のような効能があります。
1. 本態性高血圧症: 血圧を下げることで、心臓の負担を軽減します。
2. 狭心症: 心臓への血流を改善することで、胸痛を緩和します。
3. 不整脈: 特に頻拍を伴う不整脈や心房細動の治療に用いられます。
4. 片頭痛: 片頭痛の発作を抑える効果があり、2013年には日本でその効能が承認されました。
5. 褐色細胞腫: カテコールアミンの分泌を抑制し、腫瘍関連の症状を軽減します。
6. 乳幼児の苺状血管腫: 赤ちゃんの皮膚における血管腫の治療にも効果を示します。

副作用と禁忌

しかし、プロプラノロールを使用する際は注意が必要です。喘息患者にとって、気道を収縮させる効果があるため、悪化を引き起こす恐れがあります。他の副作用としては、頭痛、倦怠感、めまい、徐脈などが報告されています。これらの副作用は個人差がありますので、使用前には医師と十分に相談することが重要です。

薬理学的特性

プロプラノロールは、分子に1つのキラル中心を持ちますが、実際にはラセミ体として使用されています。これにより、薬の効果と副作用のバランスが取られています。非常に体内での分布性がよく、脳脊髄にも到達します。そのため、さまざまな精神的および身体的な状態に対して幅広い効果を示します。

研究報告

最近の研究では、プロプラノロールは慢性統合失調症の治療にも効果を示す可能性があるとされています。ある二重盲検交差試験では、12名の患者中6名において精神症状の改善が見られました。また、カナダの研究チームによると、トラウマの記憶を思い出す際に投与することで、その辛さを緩和することが報告されています。

乳幼児に対しては、苺状血管腫に対してプロプラノロールを毎日3mg/kgの用量で投与した場合、88%の症例で病状が改善したという研究もあります。この結果は、偽薬を投与したグループに比べてかなりの差を示しており、臨床的な有効性が確認されました。2015年にはこの研究成果を基に日本での承認申請が行われ、2016年に製造承認が得られました。

代表的な商品名

プロプラノロールは日本において、特定の商品名で広く知られています。「インデラル」は成人向けに販売されているもので、アストラ・ゼネカが手がけています。また、「ヘマンジオル」は、特に乳幼児向けの製品で、マルホが販売しています。これらの製品は、一般の医薬品として広く利用されています。

プロプラノロールは、心血管系の疾患のみならず、他にも幅広い効果を持つ薬剤ですが、その使用に際しては医師との相談が不可欠です。

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