ヘンリー・バサースト (第2代バサースト伯爵)

第2代バサースト伯爵ヘンリー・バサースト：生涯と業績

第2代バサースト伯爵ヘンリー・バサースト（1714年 - 1794年）は、18世紀のイギリスにおいて、法律家、政治家として重要な役割を果たしました。大法官（1771年 - 1778年）や枢密院議長（1779年 - 1782年）を歴任し、トーリー党に所属していました。彼の生涯、政治家としての活動、家族、そして後世からの評価について詳しく見ていきましょう。

生い立ちと教育

ヘンリー・バサーストは、初代バサースト伯爵アレン・バサーストの次男として生まれました。イートン・カレッジで教育を受けた後、オックスフォード大学ベリオール・カレッジに進学し、法学を学びました。インナー・テンプルにも入学し、弁護士資格を取得。その後、リンカーン法曹院にも所属し、勅選弁護士に選出されるなど、法曹界でのキャリアを着実に築きました。

庶民院議員としての活動

1735年、サイレンセスター選挙区の補欠選挙で庶民院議員に初当選。当初は野党の一員として活動しましたが、父親が官職に就任したことをきっかけに与党に転じます。その後、再び野党となり、ウェールズ公フレデリック・ルイスに接近。ウェールズ公の法務次官、法務長官を歴任しました。フレデリック・ルイスの死後は、ウェールズ公ジョージ（後のジョージ3世）の法務長官を務めました。

1754年には、父親の意向で庶民院議員を辞職し、議席を兄に譲りました。その後、大法官の推薦により庶民間訴訟裁判所の裁判官に就任し、ウェールズ公の法務長官を退任しました。

大法官、枢密院議長としての活躍

1770年、大法官チャールズ・ヨークの急死を受け、国璽尚書委員に任命されます。翌年には枢密顧問官に任命され、さらに大法官に就任。グレートブリテン貴族であるアプスリー男爵に叙されました。大法官在任中は、ノース内閣の一員として閣議の決定事項を支持しました。

1775年に父親が死去したため、バサースト伯爵位を継承。1776年には、貴族院で行われたキングストン＝アポン＝ハル公爵夫人エリザベス・ピアポントの裁判で大家令を務めました。1778年の内閣改造で大法官を更迭されますが、1779年には枢密院議長として再入閣。ノース内閣が総辞職するまでその職を務めました。

晩年と死

1783年、フォックス＝ノース連立内閣が成立した際、大法官への再任を希望しましたが、実現しませんでした。1794年8月6日、サイレンセスター近くのオークリー・グローヴで死去し、家族納骨所に埋葬されました。爵位は息子のヘンリーが継承しました。

著作と評価

ヘンリー・バサーストは、偽装結婚の被害者に関する著作『Case of the unfortunate Martha Sophia Swordfeager』を匿名で出版しました。また、初代準男爵サー・フランシス・ブラーの著作『Law relative to Trials at Nisi Prius』は、バサースト伯爵が収集したコレクションに基づいているとされています。

しかし、オックスフォード英国人名事典によると、彼は庶民間訴訟裁判所の裁判官として法律問題に対する判決を回避する傾向があり、大法官としても凡庸でミスが多かったとされています。19世紀の大法官である初代キャンベル男爵ジョン・キャンベルも、彼を法律家として低く評価しています。

家族

ヘンリー・バサーストは、2度の結婚をしました。最初の妻アン・ジェームズとの間に子供はいませんでしたが、2番目の妻トライフェナ・スコーエンとの間に2男4女をもうけました。息子の一人であるヘンリーは、後に第3代バサースト伯爵となりました。

このように、第2代バサースト伯爵ヘンリー・バサーストは、18世紀のイギリス政治において重要な役割を果たした人物ですが、その評価は賛否両論あります。しかし、彼の生涯と業績は、当時のイギリス社会や政治情勢を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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