ベアズヴィル・レコード

ベアズヴィル・レコード：音楽史に刻まれた個性派レーベル

ベアズヴィル・レコードは、1970年代から80年代にかけて、独自の路線を歩んだアメリカのレコードレーベルです。ボブ・ディランのマネージャーとして知られるアルバート・グロスマンによって、ニューヨーク州ウッドストック近郊のベアズヴィルに設立されました。

設立の背景

グロスマンは、ベアズヴィル・レコーディング・スタジオを設立後、アンペックスと協力してアンペックス・レコードを立ち上げましたが、すぐに頓挫。その代替として、ベアズヴィル・レコードが設立されました。当初の配給はアンペックスでしたが、後にワーナー・ブラザースへと移行しました。レーベルのロゴは、著名なグラフィックデザイナー、ミルトン・グレイザーが手掛けました。

個性的なアーティストたち

ベアズヴィル・レコードが最初にリリースしたのは、アメリカン・ドリームというバンドの同名アルバムでした。その後、ギル・エヴァンス、グレイト・スペックルド・バードなどが続きます。特に重要なアーティストは、ナッズを脱退後にグロスマンとマネジメント契約を結んだトッド・ラングレンでした。彼はレーベルの中心的な存在として、プロデューサーとしても活躍しました。また、ラングレンの推薦でスパークス（ハーフネルソン）がデビューを果たしています。

その他、フォガット、ポール・バターフィールド、NRBQ、ジェシー・ウィンチェスター、DB’s、ランディ・ヴァンウォーマー、ボビー・チャールズなど、多彩なアーティストが所属していました。

終焉とその後

1980年代に入ると、グロスマンの体調が悪化し、妻のサリーが経営を引き継ぎましたが、1984年にレーベルは閉鎖されました。グロスマンは1986年に亡くなっています。レーベル閉鎖後、音源のリリースはライノ・レコードが行っています。

ディスコグラフィー（一部）

以下に、ベアズヴィル・レコードからリリースされたアルバムの一部を年代順に紹介します。

1970年 (アンペックス配給)

The American Dream - The American Dream (A10101)
Gil Evans - Gil Evans (A10102)
Great Speckled Bird - Great Speckled Bird (A10103)
Jesse Winchester - Jesse Winchester (A10104)
Todd Rundgren - Runt (A10105)

1971年

Jericho – Jericho (A10112)
Todd Rundgren - Runt. The Ballad of Todd Rundgren (A10116)
Jesse Frederick - Jesse Frederick (BR 2043)
Lazarus – Lazarus (BR 2044)

1972年

Sparks - Halfnelson (BV 2048)
Todd Rundgren - Something/Anything? (2BX 2066)
Hungry Chuck - Hungry Chuck (BR 2071)
Foghat - Foghat (BR 2077)
Jesse Winchester - Third Down, 110 To Go (BR 2102)
Bobby Charles - Bobby Charles (BR 2104)
Paul Butterfield - Better Days (BR 2119)

1973年

Sparks - A Woofer In Tweeter's Clothing (BR 2110)
Todd Rundgren - A Wizard, A True Star (BR 2133)
Lazarus - A Fool's Paradise (BR 2135)
Foghat - Foghat (Rock & Roll) (BR 2136)
M. Frog - M. Frog (BR 2140)
Paul Butterfield - It All Comes Back (BR 2170)
* Foghat - Energized (BR 6950)

（以降、1984年まで省略）

ベアズヴィル・レコードは、短命ながらも、多様な才能が集まり、音楽史に独自の足跡を残しました。その個性的なサウンドは、今も多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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