ベル 309 キングコブラ

ベル 309 キングコブラの概要

ベル 309 キングコブラ（英語: Bell model 309 KingCobra）は、1970年代にベル・ヘリコプター社によって開発された攻撃ヘリコプターの実験機です。この機体は新型空中火力支援システム（AAFSS）計画の一環として、ベル社が独自に設計したベル 209を基にしています。後にAH-1G ヒューイコブラが進化したことでも知られるこの機体は、様々な技術的改良が施されています。

開発と設計の経緯

開発計画は1971年1月に正式に発表され、その後プロトタイプが製作されました。2つのタイプ、すなわち二重エンジン型（T400-CP-400を搭載）と単発型（T55-L-7Cを搭載）があり、それぞれ1971年9月および1972年1月に初めての飛行試験が実施されました。両タイプはエンジン以外ほぼ同一の設計が採用されていましたが、1972年9月に単発型が事故で破損したため、その後の試験は二重エンジン型を代替として使用しました。

デザインと特徴

ベル 309の外観は、特徴的な長い機首とテールブーム下部にある小型短翼によって「ノスリの嘴」と表現されています。この機体は、AH-1Gのテールブームを1.09m延長し、直径15mの新型ローターブレードを搭載しています。また、M197機関砲の大型ドラム弾倉や、16ヶ所のウェイポイントを保存できる慣性航法装置が搭載されています。さらに、戦闘用センサーシステムとしてFLIR（前方探索赤外線）、LLTV（低光量テレビ）、レーザー距離計、ミサイル誘導システムも装備されており、これらの情報はヘッドアップディスプレイに表示されます。特に、これらの先進的なアビオニクスやセンサー技術は、後のAH-1シリーズの発展にも寄与しました。

主な性能と仕様

ベル 309はその性能においても優れた特徴を持っています。全長は18.06メートル、全高は4.67メートルで、主回転翼の直径は15メートルです。自重は4,049kgで、最大離陸重量は6,804kgです。発動機には、T400-CP-400ターボシャフトエンジンを2基搭載する双発型、またはT55-L-7Cターボシャフトエンジンを1基搭載する単発型が選べ、出力はそれぞれ1,300 kWまたは1,500 kWとなっています。実用最大速度は294 km/hです。

武装と乗員

武装に関しては、M197 20mm 3銃身ガトリング砲を機首下面ターレットに装備し、対戦車ミサイルのBGM-71 TOWやハイドラ70 2.75インチロケット弾も使用可能です。乗員は2名、操縦士と射撃手によって構成されています。

結論

ベル 309 キングコブラは、当時の攻撃ヘリコプター技術の集大成とも言える機体です。そのデザイン、性能、装備は未来のヘリコプター開発に多大な影響を与えました。新型空中火力支援システムの計画を支えるこの試作機は、現在でも多くの航空ファンや研究者に注目されています。

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