ベルナール・ダルニッシュ

ベルナール・ダルニッシュ：ターマックの帝王

ベルナール・ダルニッシュ (1942年生まれ) は、フランスの伝説的なラリードライバーです。1970年代、特にランチア・ストラトスを駆り、ヨーロッパラリー選手権やフランスラリー選手権で数々の栄光を掴みました。その卓越したドライビングテクニック、特にターマック路面での圧倒的な強さから「ターマックのスペシャリスト」と呼ばれ、多くのファンを魅了しました。

華々しいラリーでの活躍

ダルニッシュのキャリアは1967年のラリーデビューから始まりました。その後、アルピーヌ・ルノーのワークスドライバーとして活躍し、1972年にはフランスラリー選手権で初優勝を飾ります。1973年には世界ラリー選手権（WRC）に参戦、ラリー・モロッコで優勝、アルペン・ラリーで2位入賞と、早くもその才能を示しました。

彼の真価を発揮したのはランチア・ストラトスに乗り換えてからです。1976年と1977年にはヨーロッパラリー選手権を制覇し、1976年と1978年にはフランスラリー選手権でチャンピオンの座に輝きました。中でも、ツール・ド・コルスでは6度の優勝を記録。これは、ディディエ・オリオールと並ぶ最多勝記録であり、彼の圧倒的な強さを物語っています。

特に記憶に残るレースとして、1979年のラリー・モンテカルロが挙げられます。チーム・シャルドネ所属、ランチア・ストラトスで挑んだこのレースでは、最終日を迎える時点で6分27秒もの遅れがありました。しかし、メカニックのマリオリによる徹夜での懸命な修理と調整により、見事に逆転優勝を達成したのです。この逆転劇は、ダルニッシュの粘り強さとチームワークの勝利として、今も語り継がれています。

WRC、そしてル・マン24時間レース

WRCでは、得意とするツール・ド・コルスとラリー・モンテカルロを中心にスポット参戦を続けました。フィアット、ランチア、そして様々なメーカーのマシンを駆り、その経験と技術は研ぎ澄まされていきました。 ワークスチームとプライベーターチームを行き来しながら、アウディ・クワトロ、プジョー・205ターボ16、メルセデス・ベンツ 190Eなど、様々なマシンを操縦し、常にトップレベルで戦い続けました。

WRC以外にも、ル・マン24時間レースにも挑戦。1978年にはロンドーM378で総合9位（GTPクラス優勝）、1979年にはロンドーM379で5位と、その実力を示しました。

引退後も続く自動車界への貢献

1987年にWRCから引退後も、ダルニッシュの自動車界への貢献は続きます。フランスのTVやラジオ番組にゲスト出演し、その豊富な経験に基づいた解説は、多くの視聴者・リスナーを魅了しています。2010年には、ランチア・ストラトス40周年復興プロジェクトにも参加、新型ストラトスの開発に携わりました。

ベルナール・ダルニッシュは、その類まれな才能と経験、そして粘り強い闘志で、ラリーの歴史に名を刻んだ偉大なドライバーの一人と言えるでしょう。彼の伝説は、これからも多くのラリーファンを熱狂させることでしょう。

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