ベンジャミン・W・リー

ベンジャミン・リー (Benjamin Whisoh Lee)

ベンジャミン・リー（1935年1月1日 - 1977年6月16日）は、朝鮮出身の理論物理学者であり、アメリカにおいて素粒子物理学の重要な研究者として知られています。彼の業績は自発的対称性の破れやチャームクォークの探索に関する研究において奥深く影響を与えました。

生い立ち

リーは日本統治下の朝鮮京城府元町（現在のソウル）で生まれ、家庭は医療に従事していたものの、経済的には苦しかったとされます。1941年に京城師範学校第一付属国民学校に入学し、その後、京畿中学校で学びました。このころから科学に興味を持ち、特に化学から物理学へと興味を広げました。

大学からアメリカ留学

1952年、ソウル大学工学部に入学しますが、物理学への情熱が高まり、独学で物理学を学び始めます。朝鮮戦争中、彼はアメリカの奨学制度に選ばれ、1955年にアメリカのマイアミ大学に編入。1956年にはピッツバーグ大学で優秀な成績を収めながら学び、理論物理学の道を進むことになります。

プリンストン高等研究所とペンシルベニア大学

1961年、プリンストン高等研究所に招かれ、後にペンシルベニア大学の准教授として活躍。ここで彼は量子フィールド理論、特にヤン＝ミルズ理論の量子化に焦点を当てました。また、彼の研究がワインバーグの電弱統一理論に寄与することになります。

ストーニブルック校在職時期

1966年にニューヨーク州立大学ストーニブルック校に教授として聘用され、そこで彼はチャームクォークの質量予測などの重要な業績を残します。また、彼は自発的対称性の破れやシグマモデルの繰り込みに関する研究も行いました。

フェルミ国立加速器研究所

1973年から1975年までフェルミ国立加速器研究所の理論物理学部長として活躍。彼はこの職務を通じて様々な高エネルギー物理学の実験に関与し、実験計画立案にも携わっています。1974年、アメリカにおける韓国大学への援助計画にも関与しました。

交通事故による死去

1977年6月16日、アメリカのイリノイ州で交通事故に遭い、急逝しました。彼はその際に、科学環境が整い始めた韓国を再訪する計画を持っており、約20年ぶりの母国訪問に向かっていました。彼はその死後、韓国から正国民勲章を授与されるなど、数々の栄誉を受けました。

業績と影響

ベンジャミン・リーの研究は、素粒子物理学の基盤を築く上で極めて重要であり、多くの後進の研究者に影響を与えました。彼の自発的対称性の破れの研究は、ヒッグス機構の理論的理解を深め、実験的発見に繋がっていくことになります。彼の名は、同時代の物理学者たちの中でも特に輝かしいものとされています。

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