ペシュメルガ

ペシュメルガとは

ペシュメルガは、クルド語で「死に立ち向かう者」という意味を持つ、イラクのクルディスタン自治政府が管理する軍事組織です。この組織は、クルド人の独立や自治拡大を求める長い歴史に根ざしています。1920年代から始まる抵抗活動の中で、ペシュメルガはさまざまな武器を使い、イギリスの委任統治下やその後のイラク政府に対抗してきました。

歴史的背景

ペシュメルガの起源は、オスマン帝国の崩壊後の混沌とした時代にさかのぼります。彼らは旧オスマン帝国軍からの武器を使用し、英国の支配に反抗する運動を展開しました。また、冷戦時代にはソ連製兵器を入手しましたが、イラクのフセイン政権の圧力により、度重なる鎮圧の対象となり、厳しい戦いを強いられました。

しかし2003年、イラク戦争が勃発すると、フセイン政権が崩壊し、ペシュメルガはクルディスタン自治政府の公式な武装組織へと生まれ変わりました。この時期、年間約5億ドルが兵力や装備の充実に投じられ、アメリカからも最大10億ドルの軍事援助を受けました。

現在の組織規模

ペシュメルガの兵力は、約15万人から20万人と推定されており、これは多くの先進国の陸軍に匹敵する規模です。彼らは36個旅団を編成しており、主に軽歩兵による戦力によって活動しています。火器や装備は多様で、旧世代の戦車なども保有しつつ、中東特有のAK系火器や旧ソ連製車両を積極的に活用しています。最近では、アメリカやドイツからの供給によって、個人携行火器や装甲車も増え、高度な武装へと進化しています。さらに、ヘリコプター部隊も保有し、航空戦力も充実しています。

重要な転機

フセイン政権崩壊時、ペシュメルガは米軍と連携し、北部イラク、特にキルクークの主要都市を掌握しました。2014年には、ISILの猛攻に対し、イラク政府軍や警察が崩壊する中、ペシュメルガは頑強に抵抗し、反撃を展開しました。2017年には、クルディスタン自治地域の外を含むイラク全体の約14%を制圧するという成果を得ています。

装備と兵器

ペシュメルガは、火器や戦車、装甲車両など、多様な装備を保持しています。小火器には、AK47やM16などがあり、対戦車火器としてRPGなども使用されています。さらに、迫撃砲や携帯式防空ミサイルの運用も行っています。戦車族としては、T-72やT-62、装甲車両としてはBMP-1やMRAPなどが含まれ、ヘリコプター部隊も多くの機体を保有しています。

本組織は、長い歴史的背景を持ち、地域の安全保障に重要な役割を果たしています。ペシュメルガは、クルド人の自治や独立を求める運動の中で、今後もその存在意義を高めていくことが期待されています。

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