ペルーサー

ペルーサーの神話的背景

ペルーサー（古希: Φέρουσα, ラテン語: Pherusa）は、ギリシア神話において、特に重要な役割を果たす女性の名前です。この名前は「実り多き者」を意味し、豊穣と繁栄の象徴として崇められています。日本語では長母音記号が省略され、ペルサとも表記されることがあります。

ネーレーイデスの一員としてのペルーサー

海の神ネーレウスとその妻ドーリスの間に生まれた50人の美しい娘たち、いわゆるネーレーイデスの中の一人がペルーサーです。彼女たちは、海の豊かさと祝福を象徴しており、しばしば海の豊穣を司る存在として描かれます。

ネーレーイデスは、彼女たちの父であるネーレウスが「海の賢者」として知られることから、知恵や美しさ、そして神秘的な力を象徴しています。ペルーサーもその一部として、自然の恵みをもたらす存在でありました。

ホーライの一柱としての存在

また、ペルーサーはホーライ（季節の女神）の一柱としても知られています。ヒュギーヌスの『ギリシア神話集』によると、彼女はゼウスとテミスの娘です。ホーライは、アウクソー、エウノミアー、カルポー、ディケー、エウポリアー、エイレーネー、オルトシアー、タローなど、他の8人の姉妹と共に、大地の豊穣や季節の変化、人間社会の秩序を保つ役割を担っています。彼女たちは農業や収穫を通じて人々に恩恵を与え、自然のサイクルを保つ重要な存在です。

ペルーサーと自然の関係

ペルーサーの名前が示す通り、彼女は自然の実りや豊穣を体現する存在であり、農作物の成長や収穫の象徴としての役割を果たしていました。また、彼女の神話的な背景は、古代ギリシャの人々にとって自然を尊重し、感謝することがいかに重要であったかを示しています。豊穣をもたらす女神たちは、人々が大地を耕し、育てるために必要な存在とされていました。

参考文献

• - ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫（2005年）
• - ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫（1984年）
• - 『ヘシオドス 全作品』中務哲郎訳、京都大学学術出版会（2013年）
• - ホメロス『イーリアス（下）』松平千秋訳、岩波文庫（1992年）
• - 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店（1960年）

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