ホッジャトル・エスラーム

ホッジャトル・エスラーム（حجة الإسلام, hujjat-ul-islām）は、シーア派イスラームにおけるウラマー（聖職者）の位階の一つであり、「イスラームの証」を意味します。これは、アラビア語の「フッジャトゥルイスラーム」がペルシア語に借用され、発音変化を経て定着したものです。

位階としては、大アーヤトッラー、アーヤトッラーに次ぐ第三位に位置づけられます。ホッジャトル・エスラームの資格を持つ者は、イジュティハード（聖典解釈による法的判断）を行うことが許されるムジュタヒド（独立した法的判断を下せる学者）の中でも、最も位階が低いとされています。しかし、有能な聖職者であれば、20代から30代という比較的若い年齢でこの資格を得ることも可能です。

ホッジャトル・エスラームとなるためには、単一の師（アーヤトッラー以上）から、イジュティハードを行うのに十分なイスラーム法学、神学、哲学、コーラン、ハディースに関する知識を認められる必要があります。しかし、実際にはそれだけに留まらず、複数の師に師事し、多くの免状を取得することで、自身の位の正当性を示すことが一般的です。これは、シーア派におけるウラマーの位階が、称号としての側面を強く残していた時代の名残であると考えられています。

現代のイラン・イスラーム共和国では、神学校のカリキュラムがより近代的な形に整備され、位階の認証システムも規格化されています。これにより、以前に比べてより明確な基準に基づいて、ホッジャトル・エスラームの資格が認定されるようになっています。しかし、依然として、複数の師からの承認を得ることが重視される傾向も残っています。

ホッジャトル・エスラームは、シーア派イスラームにおいて重要な役割を担う聖職者であり、その資格は、高度な知識と深い信仰を持つことの証とされています。

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