ホノリウス4世 (ローマ教皇)

ホノリウス4世（在位：1285年 - 1287年）は、13世紀後半のローマ教皇であり、本名をジャコモ・サヴェッリといいました。ローマの貴族サヴェッリ家の出身で、当初は聖職者とは無縁の生活を送っていました。結婚し、二人の息子をもうけており、一人はウルビーノ市長、もう一人はローマ元老院議員となっています。妻の死後、聖職者の道へと進み、パリ大学で学びました。

その後、シャロン＝アン＝シャンパーニュ司教座聖堂参事会員に就任し、イングランドのノリッジ教区が割り当てられましたが、実際に赴任することはありませんでした。この経歴は、同じく俗人から聖職者となったクレメンス4世と類似しています。

1261年、ウルバヌス4世によって助祭枢機卿に任命され、クレメンス4世の死後のコンクラーヴェでは、グレゴリウス10世を選出した枢機卿の一人となりました。ハドリアヌス5世の治世では、ローマ王ルドルフ1世の神聖ローマ皇帝戴冠式の日程調整を行いましたが、ハドリアヌス5世が急死したため、決定には至りませんでした。また、ニコラウス3世とマルティヌス4世の戴冠式では、教皇冠を授ける役目を担いました。

1285年3月28日にマルティヌス4世が亡くなると、コンクラーヴェが開かれ、わずか5日後の4月2日にジャコモが教皇ホノリウス4世として選出されました。しかし、彼は高齢で痛風を患っており、ほとんど立ち上がることができませんでした。

マルティヌス4世はナポリ王シャルル・ダンジューの傀儡と見なされ、その意向に沿った政策を実行していましたが、ホノリウス4世も同様にアンジュー＝シチリア家寄りの姿勢を取り、シチリア王位を巡ってアラゴン王家のバルセロナ家と対立しました。シチリアの晩祷事件によってシャルルはシチリアを失い、アラゴン王ペドロ3世に奪われたものの、マルティヌス4世とフランス王フィリップ3世を巻き込んで奪還を試みましたが、シチリアを取り戻すことはできませんでした。

マルティヌス4世とフィリップ3世、そしてペドロ3世も1285年中に相次いで亡くなり、アラゴンは長男のアルフォンソ3世、シチリアは次男のハイメが相続しました。1284年にアラゴン側に捕らえられたカルロ2世がシチリアの完全放棄を条件に釈放されましたが、ホノリウス4世はこれを認めず、ハイメを破門しました。これにより、バルセロナ家との関係はさらに悪化しました。

イングランド王エドワード1世の尽力でアルフォンソ3世との和平交渉が開始されましたが、結論が出ないままホノリウス4世は亡くなりました。シチリア問題の最終的な決着は、バルセロナ家とアンジュー家が姻戚関係を結ぶ1290年代まで持ち越されることとなりました。

その他、ホノリウス4世はパリ大学への援助を行い、1285年にはイルハン朝のアルグンからイスラム教徒打倒を提案する書簡がローマに届けられました。しかし、ホノリウス4世は対応策を講じることができないまま死去し、この課題は次のニコラウス4世に託されることとなりました。

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