ホンダ・コンチェルト

Honda Concerto（ホンダ・コンチェルト）

ホンダ・コンチェルトは、1980年代に本田技研工業が生産・販売していたセダンタイプの小型乗用車です。このモデルは、イギリスのオースチン・ローバー・グループ（ARG）との技術提携を背景に開発され、アコードとシビックの中間に位置付けられていました。しかし、特筆すべきは、そのデザインにヨーロピアンスタイルが色濃く反映されていたことであり、クラスレスな性格を持つ車種として多くの支持を集めました。

概要

コンチェルトには、4ドアノッチバックセダンと5ドアハッチバックセダンの2つのボディバリエーションが存在しました。特徴的な点は、両者ともに6ライト・ウィンドウの側面窓配置を持ち、当時のホンダ車が好んで採用していた低くて幅広いデザインとは対照的に、比較的高めの車高と長いボンネットを備えた、伝統的なセダンのスタイルを有していたことです。

日本仕様は国内で生産された一方、欧州仕様はARGで製造されるという、初代レジェンドと類似した生産体制が取られていました。サスペンションの設計も日本仕様と欧州仕様で異なり、日本版は4輪ダブルウィッシュボーン式を採用していたのに対し、欧州版はARGが開発したストラット式のフロントサスペンションを採用していました。また、欧州仕様車両の車台番号は、「ARR」と始まる番号が付与されています。

さらに、ARGでは「ローバー 216/220」や「416」といった3ドアハッチバックや5ドアステーションワゴン、2ドアクーペ・カブリオレなど、姉妹車が多数存在しました。これにより、コンチェルトとARGにおける車種群との関係が強化されています。

エンジンと駆動方式

コンチェルトは、ホンダ・シビックに搭載されていたD15B型とZC型のエンジンを搭載していました。駆動方式にはFF（前輪駆動）と4WDがあり、上級グレードにはトルクスプリット型ビスカスカップリングと4w A.L.B.を組み合わせた「INTRAC」という機構が備わっていました。また、最上級モデル「JX-i」では、全車輪にディスクブレーキが装備され、一部のモデルでは後輪にドラムブレーキが使用されていました。

さらに、上級グレードに設定されたオプションや装備も豊富で、フルオートエアコン、運転席電動パワーシート、4スピーカーオーディオ、キーレスエントリーシステムなどが標準で搭載されていました。また、4ドアセダンでは本革シートのオプションも用意されていました。

初代 MA1/2/3型（1988年-1992年）

コンチェルトの初代モデルは1988年6月15日に発表され、翌日の6月16日に4ドアセダンのFFモデルが発売されました。その後の発売では4WDや5ドアセダンが続々と追加され、フェイスリフトやマイナーチェンジが行われることで、スタイルや装備が進化していきました。

1992年9月には生産が終了し、11月には後継車となる「ホンダ・ドマーニ」が登場しました。また、ローバージャパンにより姉妹車の400シリーズが翌年から販売されたことで、コンチェルトはモデルとしての役割を終えることになりました。

車名の由来

車名の「コンチェルト」は、イタリア語で「協奏曲」を意味しており、異なる要素の調和を象徴する名とされています。

関連項目

• - 本田技研工業
• - ホンダ・シビック
• - ホンダ・クイント
• - ホンダ・ドマーニ
• - オースチン・ローバー・グループ

このように、ホンダ・コンチェルトは、独自のスタイルと優れた性能を持つモデルとして、多くの車ファンに愛され続けています。

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