ホンダ・ジュリオ

ホンダ・ジュリオ：レトロなデザインと実用性を兼ね備えたスクーター

1998年、ホンダは「ニュー・トレンドスクーター」として、レトロなデザインが特徴のスクーター、ジュリオを発表しました。その名の通り、スペイン語で7月を意味する「Julio」と名付けられたこのモデルは、ジョルノやジョーカーに続く、同社のレトロ風スクーターシリーズの一台として注目を集めました。

デザインと機能性の融合

ジュリオは、アンダーボーン型フレームを採用し、1960年代のスクーターを思わせるデザインが特徴です。フロントフェンダー一体型のレッグシールドに埋め込まれたヘッドライト、車体後方の側面を覆う大型カバーなど、レトロな雰囲気を醸し出すデザインは、当時新鮮な印象を与えました。

機能性も充実しており、フルフェイスヘルメットが収納できるメットインスペースや、盗難防止に役立つセンタースタンドロック機構を備えていました。サスペンションは、前輪にメッキカバー付ボトムリンク、後輪にユニトスイングを採用し、乗り心地にも配慮されています。前後タイヤサイズは3.00-10-10-J42で、ブレーキは前後ともリーディングトレーリング式です。最小回転半径は1.8mと、取り回しやすさも魅力です。

エンジンと性能

エンジンには、AF24E型強制空冷2ストローククランクケースリードバルブ単気筒エンジンを搭載。これは、1989年に発表された5代目タクトからのキャリーオーバーですが、1998年3月に発表された7代目タクトの設計思想をベースに改良が加えられています。

平成10年排出ガス規制に対応するため、マフラーに三元触媒が内蔵され、シリンダーポートタイミングと点火時期の調整により、出力特性が変更されました。最高出力は5.1ps/6,500rpm、最大トルクは0.59kg-m/6,000rpmを達成。圧縮比は6.9です。Vマチック無段変速機によりスムーズな走りを提供しました。燃料供給はAPBB4型キャブレター、燃料タンク容量は6.0L、2ストロークオイルは分離給油式でタンク容量は1.15Lでした。

シートはベージュとホワイトのツートーンカラーが採用され、スタイリッシュな外観に貢献しています。発売当初から、ホンダアクセスが製造する純正オプションパーツも用意され、ユーザーは自分好みのカスタマイズを楽しむことができました。

多彩な限定モデル

ジュリオは、発売後も様々な限定モデルが追加されました。1999年には、シートカラーや装備を変更した「スプリングコレクション」と「メタルミックスバージョン」、2000年には東京モーターショーにも参考出品されたスケルトンモデルが発表され、それぞれ限定生産されました。これらの限定モデルは、ジュリオの人気をさらに高める一役を担いました。

生産終了

ホンダの二輪車エンジン4ストローク化の方針に伴い、2002年にジュリオの生産は終了しました。しかし、そのレトロなデザインと実用的な機能性は、多くのファンに今も記憶されています。ホンダのスクーター史において、重要な位置を占める一台と言えるでしょう。

参考文献

本田技研工業公式HP 2輪製品アーカイブ JULIO

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