ホーキンス級重巡洋艦

ホーキンス級重巡洋艦：大戦下の海の守護者

ホーキンス級重巡洋艦は、第一次世界大戦中にイギリス海軍が建造した重巡洋艦です。当初は「改バーミンガム」級と呼ばれていましたが、1番艦「ホーキンス」の名を冠して呼ばれるようになりました。これは、同級艦「キャベンディッシュ」が建造途中で空母に改装されたためです。

誕生の背景：通商破壊への対抗策

第一次世界大戦の勃発当初、ドイツ帝国海軍の東洋艦隊は装甲巡洋艦や防護巡洋艦を用いた通商破壊作戦でイギリスを苦しめました。既存のイギリス海軍の巡洋艦ではこれに対抗するには火力不足でした。さらに、ドイツ海軍は15cm砲を搭載した新型軽巡洋艦を配備しつつありました。大西洋での通商破壊を阻止するには、より強力な艦艇が必要不可欠だったのです。

この脅威に対処するため、イギリス海軍は1915年6月に画期的な大型軽巡洋艦の開発に着手しました。それがホーキンス級です。7門の19cm主砲という圧倒的な火力、荒天時でも高速航行を可能にする高い航洋性と航続力は、ドイツの仮装巡洋艦を捕捉し、通商路を護衛する上で非常に有効でした。5隻の建造が承認され、建造が始まりました。なお、ホーキンス級が「重巡洋艦」に分類されるようになったのは、1930年のロンドン海軍軍縮会議後のことです。当初は「強力な軽巡洋艦」という位置づけでした。

艦形と武装：優れた火力と航洋性

ホーキンス級はバーミンガム級を基本設計として、乾舷の高い長船首楼型船体を採用しました。艦首甲板上に新設計の19cm砲を2基、背負い式に配置。2番主砲の基部から上部構造が始まり、艦橋、マスト、煙突などが配置されています。舷側には19cm砲をさらに3基搭載、対空火器として7.6cm高角砲4基、対水上用として7.6cm速射砲6基も装備されました。後部甲板にも19cm砲を2基配置し、高い火力を誇りました。

主砲である19cm砲は、90.7kgの砲弾を最大射程19,300mまで到達させる強力な武器でした。仰角30度、俯角5度、旋回角度300度を誇り、毎分5～6発の発射速度を持っていました。俯仰、旋回、装填は主として電力で行われ、補助的に人力を必要としていました。

対空兵装は当初、7.6cm高角砲でしたが、後の近代化改装では10.2cm高角砲に換装された艦もあります。また、魚雷発射管も備え、様々な脅威に対処できるよう設計されていました。

機関：高速性と航続性を両立

ドイツ海軍の軽巡洋艦に対抗するため、ホーキンス級は30～31ノットという高速を実現する必要がありました。そのため、70,000馬力という高出力の機関を搭載する必要があり、12基のボイラーとギヤード・タービンを4軸推進に用いるという、当時としては先進的なシステムが採用されました。燃料は石炭と重油の両方に対応していましたが、後期の艦は重油専焼に改められました。

同型艦とその後

ホーキンス級は5隻が建造されました。

ホーキンス: 1919年竣工、1947年除籍
ローリー: 1921年竣工、1922年除籍
ヴィンディクティヴ: 1918年竣工、水上機母艦に改装後、1936年練習艦となり、1946年除籍
エッフィンガム: 1925年竣工、1940年事故により海没
フロビッシャー: 1924年竣工、1949年除籍

これらの艦艇は第一次世界大戦後もイギリス海軍で活躍し、近代化改装も行われましたが、最終的には全て除籍、解体されました。

参考文献

「世界の艦船増刊第46集 イギリス巡洋艦史」(海人社)
* 「世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史」(海人社)

ホーキンス級重巡洋艦は、第一次世界大戦下の厳しい状況の中で生まれた、イギリス海軍の重要な艦艇でした。その設計思想、性能、そして活躍は、海軍史において重要な位置を占めています。

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