ホークアイ (装甲車)

ホークアイ（Hawkei）

ホークアイは、オーストラリア国防軍が運用する4輪駆動の装輪装甲車であり、歩兵機動車に分類されます。オーストラリア国防軍の非装甲車両やランドローバー ペレンティー軽装甲パトロール車両の一部を後継する目的で採用されました。

概要

ホークアイは、高い機動性と防護力を有し、戦闘プラットフォームとしての使用を想定したシステムが組み込まれています。電子装備は特殊なミッションシステムに対応しており、兵員輸送、偵察、警戒・監視、指揮統制、電子戦、連絡など、多岐にわたる任務への対応を目指して開発されました。

開発は、タレス・オーストラリアをはじめ、ボーイング・オーストラリア、プラサン（イスラエル）、PACグループといった国内外の企業が協力して行われました。名称の「ホークアイ」は、オーストラリア固有のコブラ科に属する毒ヘビの一種、Acanthophis hawkeiに由来します。

開発経緯

ホークアイは、オーストラリア国防軍の支援車両を代替する大規模プロジェクト「ランド121フェーズ4 – 防護機動車両（軽装甲）またはPMV-Lプロジェクト」の要求に基づいて開発されました。プロジェクトの主な基準として、不整地での走行能力、汎用的なモジュール設計、大量の搭載量、地雷や即席爆発装置（IED）に対する高い防護性、軍用ヘリコプターでの空輸が可能な重量であることが求められました。

プロジェクトでは、以下の3つのオプションが検討されました。

1. Joint Light Tactical Vehicle（JLTV）プログラムへの参加: 米国のJLTVプログラムに合わせてPMV-Lの要件を調整し、高機動多目的装輪車両（ハンヴィーの後継）を採用する。
2. オーストラリア国内での製造とサポート体制の確立（MSA）: 国内企業による製造とサポート体制を構築する。
3. 輸入調達: オプション1および2に関する政府の決定に従い、輸入調達を検討する。

MSAオプションでは、MOWAGイーグルIV、ゼネラルダイナミクスランドシステム、オセロットLPPV（イギリス軍）、ホークアイ（タレス・オーストラリア）が候補として挙げられました。JLTVオプションには、BAE Systems / Navistar、AM General / General Dynamics、ロッキード・マーティンが参加しました。

2011年12月、オーストラリア国防省は、MSAオプションの下でのさらなる開発とテストのために、ホークアイを優先車両として発表しました。2015年10月には、13億ドルの費用で1,100両のホークアイ装甲車と1,000両のトレーラーを購入することが発表されました。

その後の動向

2017年11月、ポーランドが国軍近代化の一環としてホークアイを検討していることが報じられました。当初は50両の車両を購入し、長期的には700両もの車両を購入する可能性がありました。2020年9月には、ホークアイがポーランドの競技会に出場する4両の車両のうちの1両として発表されました。

2018年9月、オーストラリア国家監査局は、ホークアイプロジェクトの側面を批判する報告書を発表しました。報告書では、オーストラリアはホークアイ調達の競争を提供するためにJLTVプログラムに留まるべきであり、国防省はホークアイプログラムについて大臣に十分な情報を提供していなかったと指摘されました。また、オーストラリア国内で車両を製造することによるメリットがほとんどないことが判明した調査結果を大臣に提供しなかったことも問題視されました。

2018年12月現在、ホークアイは信頼性の問題に直面しており、2018年11月19日に実施された実証試験の結果を受けて、本格的な生産が遅れていました。しかし、2020年9月には、ビクトリア州ベンディゴにあるタレスの施設で、月に約50両のペースでフルレート生産に入る準備が整ったことが確認されました。現在までに、1,100両のホークアイと1,058両のトレーラーが発注されています。

2022年3月、日本の防衛省防衛装備庁は「軽装甲機動車の後継装備品」を三菱重工業、丸紅エアロスペースと契約し、三菱重工業がホークアイを提案しています。

仕様

ホークアイには、以下のような仕様があります。

4ドア仕様: 4名から6名の乗員が搭乗可能なデュアルキャブ仕様。最大12.7mm重機関銃または40mmAGLなどを搭載したRWS（Remote Weapon Station：遠隔操作式銃塔）をオプションで装備可能。
2ドア仕様: フラットベッドカーゴエリアを備えたシングルエクステンドキャブ。2名から3名の乗員が乗車し、車両総重量は6,800kg、定格貨物積載量は3,000kg。ロードベッドは、4つのNATO標準軍用パレットまたは1つのTRICONコンテナを収容できるように設計されています。

提案されている仕様

特殊作戦仕様: 最大3つの兵器システムを備えた4名から6名の乗員が搭乗可能なデュアルキャブ仕様。副操縦手用フロントスイングマウント、屋根に取り付けられた手動ターレットマウントまたはRWS、後ろ向きのスイングマウントを装備。オプションとして、フルドア、ハーフドア、フロントガラス、ペイロード用のスケーラブルなラックシステムが含まれます。
国境警備任務仕様: 4名から6名の乗員が乗車するデュアルキャブ仕様。レーダー、警戒・監視、通信システムなどの多様な機器をオプションで搭載可能。

関連項目

装輪装甲車一覧
ブッシュマスター
MRAP - 対地雷防御力を高めた装輪装甲車シリーズの総称
軽装甲機動車 - 陸上自衛隊の後継車両の選定候補にホークアイが含まれる。
* JLTV

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