ホールデン (自動車)

ホールデン：オーストラリアの自動車産業を支えたブランドの歴史

ホールデンは、1856年、ジェームス・アレクサンダー・ホールデンによってアデレードで馬具製造会社として創業されました。その後、自動車ボディ製造へと事業を拡大し、1919年にはHolden's Motor Body Builders Ltd (HMBB) を設立。フォード・オーストラリアのボディ組み立てを行うなど、着実に成長を遂げました。

1924年にはゼネラルモーターズ（GM）の専属ボディサプライヤーとなり、1931年にはGMに買収されてGeneral Motors-Holden's Ltd (GM-H) となり、GMグループの一員として発展を続けました。1948年、ホールデンは初めて自社ブランドの乗用車「ホールデン・48-215」を発売。アメリカ車とヨーロッパ車の中間的な車体サイズは、オーストラリアの地理的特徴を反映したものでした。

1970年代以降、ホールデンは自社開発の大型セダンや、オペル、いすゞ、スズキなど、GM系メーカーの車種のライセンス生産、輸入販売も開始しました。1980年代にはトヨタや日産とのバッジエンジニアリングによる車種も展開しました。1990年代には、小〜中型モデルはオペルベース、コスト削減のため徐々にGM大宇/シボレーベースへと移行していきます。

2000年代に入ると、ホールデンは積極的に海外展開を進めました。クーペのモナーロをアメリカやイギリスに供給するなど、グローバルな展開を模索しました。しかし、人件費の上昇やオーストラリア・ドル高、経済協定などの影響を受け、2013年、GMはホールデンの現地生産を2017年末に終了すると発表しました。

2017年10月、ホールデンの工場は閉鎖され、オーストラリア国内での自動車生産は歴史の幕を閉じました。以降、すべての車種は輸入車となり、ディーラー網は維持されましたが、2021年、GMはホールデンブランドの販売を終了することを発表しました。

ホールデンの主要車種

ホールデンは、長年に渡り様々な車種を生産・販売しました。その中には、自社開発車種、GM各社からのOEM供給車、他社との共同開発車などが含まれます。代表的な車種には以下のようなものがあります。

コモドア: ホールデンの主力モデルであり、警察や政府機関などにも多く採用されていました。
ステーツマン: コモドアをベースとした高級セダンで、韓国や中国にも輸出されました。
アポロ: トヨタ・カムリのOEMモデルとして販売されました。
ジェミニ: いすゞ・ジェミニのライセンス生産車。
* プレミア: 自社開発の大型セダンで、マツダ・ロードペーサーのベース車にもなりました。

これ以外にも、オペル、いすゞ、スズキ、シボレーなど、様々なメーカーの車種をベースとしたモデルを生産していました。

オーストラリア自動車産業の変遷

かつてオーストラリアにはフォルクスワーゲン、ルノー、オースチン、日産、クライスラーなど多くの自動車メーカーが工場を構えていましたが、1990年代以降、相次いで撤退していきました。2017年には、ホールデンの生産終了によって、オーストラリア国内での乗用車生産は完全に終焉を迎えました。人件費の高騰、オーストラリア・ドル高、自由貿易協定などが、撤退の大きな要因となったと考えられます。

日本におけるホールデン

日本では、ホールデンの知名度は高くありませんが、1973年にはいすゞ自動車にステーツマン・デ・ビルをOEM供給していました。また、マツダはホールデンのプレミアをベースにロータリーエンジンを搭載したロードペーサーを販売していました。現在でも、一部の輸入車販売会社がホールデン車を少量販売しています。

まとめ

ホールデンは、オーストラリアの自動車産業を長年に渡り支えてきた重要なブランドでした。その歴史は、オーストラリアの経済発展や社会情勢と深く関わっています。生産終了後も、部品供給などのアフターサポートは継続され、オーストラリアの自動車史に大きな足跡を残しています。ホールデンの歴史を振り返ることで、オーストラリアの自動車産業の変遷、そしてグローバルな自動車産業の動向を理解することができるでしょう。

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