ボッカチオ (オペレッタ)

オペレッタ『ボッカチオ』

『ボッカチオ』（Boccaccio, oder Der Prinz von Palermo）は、フランツ・フォン・スッペが作曲した3幕からなるオペレッタです。この作品は、ジョヴァンニ・ボッカッチョの有名な物語集『デカメロン』を基にしており、ジャン＝フランソワ・バヤール、アドルフ・ド・ルヴァン、レオン＝レヴィ・ブランスウィック、アルテュール・ド・ボプランによる戯曲を元に、カミロ・ヴァルツェルとリヒャルト・ジュネーがドイツ語のリブレットを作成しました。

1879年2月1日にウィーンのカール劇場で初演され、大成功を収めました。その後、英語にも翻訳され、1883年頃にはオスカー・ウェイルとグスタフ・ヒンリヒスによって翻訳されました。

日本では、1915年4月に帝国劇場で初演されました。小林愛雄が翻訳した台本による上演で、その後、ローヤル館でも上演されました。また、浅草オペラの様々な劇団によっても、一部が上演されました。20世紀末以降は、黒田信也の訳による上演や歌唱が多くなっています。

このオペレッタの特徴の一つとして、主人公のボッカチオ役を女性が演じることも、男性が演じることもある点が挙げられます。もともとは女性が演じることが多かったのですが、20世紀前半以降は男性が演じることが一般的になりました。

あらすじ

物語の舞台は1331年のフィレンツェ。ルネサンス初期のフィレンツェでは、詩人ボッカチオが書いたエロティックな小説が大きな反響を呼んでいました。市民たちは、ボッカチオが紡ぐスキャンダラスな物語を愛好する女性たちと、それに嫉妬する夫たちに分かれて対立していました。

物語は、夫たちがボッカチオを町から追放し、監禁しようとする動きから始まります。一方、ボッカチオ自身も様々な企みを抱えており、その一つが公爵の娘であるフィアメッタの愛を得ることでした。この恋は、最終的に公爵の好意を得ることで成就します。

主要曲

このオペレッタの中で特に有名なのは、フィアメッタのアリア「Hab' ich nur deine Liebe」です。日本では「恋はやさし野辺の花よ」というタイトルで知られています。このアリアの日本語訳は小林愛雄が手がけました。また、1953年には、オーストリアでスッペの生涯を描いた同名の映画が制作されました。

参考文献

Lamb, Andrew（1992）, "Boccaccio" in The New Grove Dictionary of Opera, ed. Stanley Sadie（London） ISBN 0-333-73432-7
伊藤由紀「小林愛雄の歌劇翻訳」『比較文学』第51号、日本比較文学会、2009年、106-120頁。 NAID 130005700322

外部リンク

Boccaccioの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
Synopsis at music.yodelout.com

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