ボナヴェントゥラ

ボナヴェントゥラの生涯と業績

ボナヴェントゥラ（Bonaventura, 1221年? - 1274年7月15日）は、13世紀イタリアの神学者、枢機卿、フランシスコ会総長として知られています。本名をジョヴァンニ・デ・フィデンツァといい、同時代のトマス・アクィナスと並び、当代の二大神学者と称されました。フランシスコ会学派を代表する人物であり、当時流行していたアリストテレス思想の受容に批判的な立場を取りました。また、カトリック教会の聖人でもあります。

ボナヴェントゥラはトスカーナのバニョレア（現在のバニョレージョ）で生まれ、幼少期から修道院に入ることを定められていました。伝説によれば、アッシジのフランチェスコによる奇跡的な治癒を受け、彼にちなんで「ボナヴェントゥラ」という名前を名乗るようになったとされています。1243年にフランシスコ会に入り、パリでヘイルズのアレクサンデルやロケルスのヨハネに師事しました。

若き神学者として、ボナヴェントゥラは『命題集』注解で注目を集め、1255年にパリ大学で神学修士号を取得しました。その後、パリ大学の教授となり、1257年にはフランシスコ会総長に選出され、その名声は非常に高いものであったことがうかがえます。総長としては、ロジャー・ベーコンのオックスフォード大学での講義を禁じ、パリに軟禁状態に置いたことでも知られています。後に、教皇グレゴリウス10世の選出に貢献し、枢機卿に任命され、アルバーノの司教となりました。1274年には、トマス・アクィナスと共に第2リヨン公会議に招聘されましたが、その地で生涯を閉じました。

同時代の人々から「熾天使的博士」（Doctor Seraphicus）と称されたボナヴェントゥラは、ダンテ・アリギエーリの『神曲』天国篇でも重要な位置を占めています。1482年に教皇シクストゥス4世によって列聖され、1587年には教皇シクストゥス5世によって教会博士に挙げられました。

ボナヴェントゥラの著作

ボナヴェントゥラの著作は、リヨン版として集成されており、最初の三巻には聖書の注解と説教集、次の二巻にはペトルス・ロンバルドゥスの『命題集』への注解、そして最後の二巻にはその他の業績が収められています。その中には、アッシジのフランチェスコの伝記である『大伝記』も含まれています。

彼の最も優れた業績とされるのは、特に「それ以外」に分類される著作で、『精神の神への道程』、『ブレヴィロクイウム』、『諸学芸の神学への還元』、『ソリロクィウム』、『七つの永遠なる遍歴』（De septem itineribus aeternitatis）などが挙げられます。

ボナヴェントゥラの思想

ボナヴェントゥラの哲学的な姿勢は、同時代のトマス・アクィナスやロジャー・ベーコンとは対照的です。アクィナスらがアリストテレスの思想に基づいたスコラ学を完成させたのに対し、ボナヴェントゥラのスタイルは神秘主義的でプラトン的な色彩が強いものでした。彼の思想は、サン・ヴィクトルのフーゴー、サン・ヴィクトルのリカルドゥス、クレルヴォーのベルナルドゥスといった人々に影響を受けています。

彼は純粋知性よりも、生の力や愛情を重視し、アリストテレスの思想には異端的な要素が含まれていると考えていました。特に、世界の永遠性に関する議論では、アリストテレスの影響を受けていた枢機卿たちと激しく論争しました。ただし、彼が影響を受けたプラトン思想は、原典に基づいたものではなく、アウグスティヌスや偽ディオニシウス・アレオパギタによる解釈を通したものでした。

ボナヴェントゥラのプラトン思想の解釈では、イデアは自然物の中に存在しないものの、実体はイデア（創造者である神の御心）に基づいて作られているとされました。他のスコラ哲学者と同様に、理性と信仰の関係から考察を始めました。彼は、科学も最終的には神学に還元され、理性はキリスト教思想から道徳的な真実を見出すことができるものの、神の「照明」なしには到達できないと考えました。真実に到達するためには、祈り、魂の鍛錬、黙想を通して神との一致が必要であり、人生の究極目標はこの神との合一にあると説きました。

魂が神を思う段階は三つあり、第一段階は、この世界に見られる神の徴（Vestigia）を経験する段階、第二段階は神に似せて作られた魂を吟味する理性の段階、そして第三段階は神を仰ぎ見る純粋知の段階です。

この三つの段階から、象徴神学、固有神学、神秘神学という三つの神学が生まれます。それぞれの段階はさらに細分化できます。感覚や想像を超えた世界を考察することで、神の徴を通して、あるいは神の徴の中に神の知識を得ることが可能です。第一段階では、物質存在の重さ、量、長さといった特性を考え、第二段階では、命や思考を持つ被造物を考察することで、三位一体の神へと導かれます。第三段階では、純粋知性で神そのものを観想し、神の概念が完全な存在であることを理解し、魂は神の無限の善良さの中に安らぎを見出します。

神の「照明」という概念は神秘神学でよく用いられますが、ボナヴェントゥラはこれにキリスト教的な意味を加えました。精神や魂が神に完全に到達するためには恩寵が必要であり、その恩寵は観想の中で、修得生活や観想生活を通して得られるとしました。

ボナヴェントゥラの著作は観想の手引きになりえますが、彼は単なる観想家ではありませんでした。普遍や個物、個の理論、純粋知など、スコラ哲学的なテーマを深く研究し、掘り下げました。彼は神学を実践的な学問と考え、そのことが愛につながると考えました。ボナヴェントゥラは、自然と神性の貢献についても検討し、宇宙が創造主である神の御心に沿っていると結論付けました。事物には神から個性が与えられ、神の創造力によって形成される純粋な可能性であり、イデアによって規定されているため、純粋知とは別個に存在しないと捉えました。

「熾天使的博士」と称されるボナヴェントゥラは、その思想において穏健さと巧妙さを兼ね備えており、それが彼の最大の特徴と言えるでしょう。

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