ボヤカの戦い

ボヤカの戦い：南米独立を決定づけた歴史的勝利

ボヤカの戦いは、シモン・ボリバル率いる独立革命軍とスペイン帝国軍が激突した、南米独立戦争における重要な戦いです。この戦いの勝利によって、ボリーバルの新グラナダ解放運動は成功を収め、その後の南アメリカ北部の独立へと繋がりました。

独立までの道のり

16世紀中期、スペインはコロンビアを征服し、植民地支配を開始しました。1717年にはヌエバ・グラナダ副王領が設置され、ボゴタに副王が置かれました。しかし、スペイン本国の重税と抑圧は民衆の不満を高め、1781年にはコムネーロスの反乱が発生。増税撤回から独立へと要求が拡大しましたが、最終的には鎮圧されました。

独立宣言と混乱

19世紀に入り、ナポレオン戦争でスペイン本国がフランスに侵略されると、植民地では独立運動が活発化します。1810年7月20日、アントニオ・ナリーニョがヌエバ・グラナダ副王を追放し、クンディナマルカ共和国の独立を宣言。しかし、独立派内部で中央集権派と連邦制派が対立し、混乱が生じます。スペイン本国が絶対王政を復活させると、独立派は各地で敗退し、ボリバルはジャマイカに亡命を余儀なくされます。

独立派の反撃とアンデス越え

1816年5月、独立派最後の拠点であったボゴタが陥落。しかし、モリーリョの徹底的な弾圧は、非独立派の間にも独立の気運を高めました。1819年2月15日、アンゴストゥーラで独立派の代表者会議が開かれ、コロンビア共和国の創設とボリバルを大統領とすることで合意。ボリバルはフランシスコ・デ・パウラ・サンタンデル将軍をカサナレ地方に潜入させ、独立軍を結成させました。

同年5月23日、独立派はモリーリョ軍との膠着状態を打開するため、アンデス山脈を越えてスペイン軍の裏をかく奇襲作戦を決行。アンデスの厳しい自然環境に苦しみながらも、独立軍はアンデス越えに成功し、サンタンデル軍と合流。7月25日、パンタノ・デ・バルガスの沼でスペイン軍との前哨戦に辛勝しました。

ボヤカの戦い：独立を決定づける勝利

1819年8月7日、独立軍はボゴタの北150キロに位置するボヤカ高原で、ホセ・マリア・バレイロ将軍率いるスペイン軍と最後の決戦に挑みました。装備で劣る独立軍でしたが、イギリスからの義勇兵も参加していました。サンタンデル軍がスペイン軍前衛部隊を分断し、直後にボリバル軍がスペイン軍後衛部隊に突撃。スペイン軍は総崩れとなり、バレイロは降伏を余儀なくされました。

戦いの意義とその後

わずか3時間の短期決戦で独立軍が勝利し、この戦いは南アメリカ諸国の独立を決定づける歴史的な出来事となりました。独立軍は8月10日にボゴタに入城してコロンビアの独立を宣言。8月7日は「ボヤカ戦勝記念日」として、コロンビアの祝日となっています。

ボヤカの戦いは、独立への強い意志と戦略的な作戦が結びつき、強大なスペイン帝国を打ち破った象徴的な戦いとして、南米の歴史に深く刻まれています。

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