ボリス・グロモフ

ボリス・フセヴォロドヴィチ・グロモフは、1943年11月7日にロシアのサラトフで生まれました。彼は幼年学校であるサラトフ・スヴォーロフ学校を卒業後、キーロフ名称レニングラード高等軍事諸兵科共通指揮学校、M.V.フルンゼ名称軍事アカデミー、ヴォロシーロフ名称ソ連軍参謀本部アカデミーと、名だたる軍事教育機関で学びました。

士官学校卒業後は、沿バルト軍管区で小隊長、中隊長としてキャリアをスタートさせ、その後、北カフカーズ軍管区とトルケスタン軍管区での勤務を経験しました。グロモフの軍歴において最も特筆すべきは、ソ連のアフガニスタン戦争における3度の従軍です。特に、1987年から1989年までの2年間は、アフガニスタン駐留ソ連第40軍の最後の司令官を務め、その手腕を発揮しました。1989年2月15日、グロモフはアムダリヤ川に架かる「友好の橋」を徒歩で渡り、ソ連軍のアフガニスタンからの撤退を完了させました。この歴史的な出来事は、彼がアフガニスタンに残る最後のソ連兵であったことを象徴しています。また、彼は東アフガニスタンのホースト市の包囲を救援する大規模作戦を成功させ、その功績によりソ連邦英雄の称号と金星勲章を授与されました。

アフガニスタン戦争後、グロモフはソ連人民代議員に選出され、政界での活動を開始しました。1989年から1990年にはキエフ軍管区司令官、1990年から1991年には内務第一次官、1991年から1992年には地上軍第一副総司令官を歴任しました。1991年のロシア大統領選挙では、共産党から副大統領候補として指名されましたが、当選には至りませんでした。1992年にはロシア連邦の国防第一次官に就任しましたが、1993年の最高会議派との対立の際には、武力解決に反対し、国防省の会議への出席を拒否するなど、一貫して平和的な解決を模索しました。また、1994年のチェチェン紛争にも反対の立場を表明しました。

1994年にロシア軍を退役した後、1995年に軍事専門官として外務省に出向し、間もなく外務次官に任命されました。同年には、ロシア連邦議会国家会議（下院）議員に当選し、兵器・国際安全保障小委員会委員長を務めました。1996年からは、「ロシアの地域」会派に所属し、政治活動を続けました。2000年1月にはモスクワ州知事に当選し、2003年12月には再選を果たし、地方政治においてもその手腕を発揮しました。

グロモフは、1995年5月からインターナショナリスト（アフガン帰還兵を意味する）・ベテラン組織連盟調整会議議長、1997年12月からは全ロシア局地戦・軍事紛争ベテラン社会運動「戦友」総裁、「ロシア市民の名誉と尊厳のための」運動共同議長など、退役軍人の支援や社会運動にも積極的に参加しています。その功績が認められ、ソ連邦英雄の他に、三等「ソ連軍における祖国への奉仕に対する」勲章、赤星勲章、赤旗勲章2個など、数々の勲章を受章しています。私生活では、妻と一人の娘を持つ家庭人でもあります。

グロモフは、軍人、政治家としてだけでなく、社会運動家としても多岐にわたる分野で活躍した人物であり、その生涯は、ソ連崩壊という激動の時代を反映しています。彼の公式ホームページやモスクワ州政府の紹介ページでは、彼の活動の詳細を知ることができます。また、ITN & Pro Videoが制作したドキュメンタリー「Wars In Peace - Afghanistan (1990)」は、彼の軍人としての側面を深く理解する上で貴重な資料となっています。

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