ボルチモア (重巡洋艦)

ボルチモア (USS Baltimore, CA-68)

ボルチモアは、アメリカ海軍が建造したボルチモア級重巡洋艦のネームシップであり、艦名はメリーランド州ボルチモアに由来します。この名前を持つ艦としては5隻目にあたります。

起工から太平洋戦争終結まで

1941年5月26日にマサチューセッツ州クインシーのベスレヘム・スチール社フォアリバー造船所で起工し、1942年7月28日にハワード・W・ジャクソンボルチモア市長夫人によって進水しました。1943年4月15日にW・C・カルフーン艦長の指揮下で就役し、太平洋艦隊に配属されました。

太平洋戦争中は、1943年11月から1944年6月にかけて、マキン島上陸作戦、クェゼリン侵攻作戦、トラック島攻撃、エニウェトク制圧作戦、マリアナ諸島攻撃、パラオ、ヤップ、ウルシー、ウォレアイ攻撃、ホーランディア上陸作戦、トラック、サタワン、ポナペ攻撃、マーカス島空襲、ウェーク島空襲、サイパン侵攻、マリアナ沖海戦など、数々の作戦に参加しました。これらの作戦では、主に火力支援や援護射撃を担当し、その卓越した能力を発揮しました。

1944年7月には、フランクリン・ルーズベルト大統領とその一行を乗せて真珠湾へ向かい、チェスター・ニミッツ提督、ダグラス・マッカーサー将軍との会談後、アラスカへ向かい、大統領は8月9日に下艦しました。

その後、1944年11月に戦線に復帰し、第3艦隊に配属。ルソン島攻撃、台湾攻撃、中国沿岸攻撃、沖縄攻撃など、各地の作戦に参加しました。1945年1月26日には第5艦隊に合流し、日本本土攻撃、硫黄島侵攻作戦、沖縄戦における第5艦隊の支援など、太平洋戦争終結まで、最前線で戦い続けました。

終戦後の1945年8月15日、ボルチモアはマジック・カーペット作戦に参加し、復員兵の輸送任務や日本占領業務に従事しました。1946年2月17日にアメリカへ帰国し、同年7月8日にワシントン州ブレマートンで予備役となりました。

再就役と退役

1951年11月28日、ボルチモアは再就役し、大西洋艦隊に配属されました。1952年から1954年の夏には、第6艦隊に所属し地中海に展開しました。1953年6月には、アメリカ海軍代表としてスピットヘッドで行われたエリザベス2世の戴冠記念観艦式に参加しました。1955年1月5日には太平洋艦隊に転属となり、同年2月から8月まで第7艦隊の一部として極東に展開しました。

任務を終えて帰国後、ボルチモアはモスボール保管に入り、1956年5月31日にワシントン州ブレマートンで予備役となりました。その後、1971年2月15日に除籍され、1972年5月10日に売却、オレゴン州ポートランドでスクラップとして処分されました。

ボルチモアは、第二次世界大戦における戦功により、9つの従軍星章を受章しました。

北朝鮮のプロパガンダ

北朝鮮は、朝鮮戦争中の1950年7月2日に発生した注文津港海戦において、朝鮮人民軍海軍の魚雷艇21号がボルチモアを「撃沈」したと主張しています。この戦功により、魚雷艇21号には近衛称号が与えられ、平壌直轄市の祖国解放戦争勝利記念館には、ボルチモア被雷の瞬間のイラストと共に展示されています。しかし、実際にはボルチモアは朝鮮戦争には参加しておらず、他のアメリカ海軍艦艇にも同様の被害は確認されていません。これは、北朝鮮による誤認または捏造であると考えられています。

外部リンク

history.navy.mil: USS Baltimore - ウェイバックマシン
navsource.org: USS Baltimore
* hazegray.org: USS Baltimore

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