ポオポ湖

ポオポ湖：ボリビアの塩湖

ポオポ湖は、ボリビア中西部のアルティプラーノに位置する塩湖です。標高約3,700mに位置し、東西90km、南北32kmと広大な面積を持ちます。年間を通して水域はおよそ1,000km2に及びますが、平均水深は3m以下と浅く、湖水面積は大きく変動します。ウルウル湖と共に、ラムサール条約による保護指定を受けています。

水源と変動

ポオポ湖の主な水源は、チチカカ湖から流れ出すデサグアデーロ川です。湖の東岸にも小川が流入しますが、ほとんどが干上がった状態です。通常、ポオポ湖は流出河川を持たない閉塞湖に区分されますが、最も水位が高い時期には、西側のコイパサ塩原まで広がることがあります。

チチカカ湖の水位が低下すると、デサグアデーロ川からの供給量が減少し、ポオポ湖は縮小します。1994年には湖が消滅したこともあります。近年では、1975年から1992年が比較的長く湖が存続した期間でした。2014年から2015年には、気温上昇に伴う蒸発により再び一時的に消滅しましたが、2017年初頭には水位が若干回復しました。しかし、再び消失する可能性は依然として残っています。

塩分と地質

ポオポ湖は塩分濃度が非常に高いことが特徴です。これは、閉鎖水系であることと、乾燥地帯に位置することに起因します。湖水の蒸発に伴い塩分濃度が上昇し、濃縮された塩水が湖に留まるためです。湖北部はデサグアデーロ川からの流入により希釈されますが、南に行くほど塩分濃度は高くなります。

湖周辺の地質要素として、岩塩や長石などが存在し、ポオポ湖の塩分のもとになっています。湖底は新生代の堆積物で覆われており、過去の氷期にアルティプラーノに存在した湖の名残です。

鉱業と重金属汚染

ポオポ地域では古くから鉱業が盛んでした。13世紀には金属採掘が始まり、16世紀のスペイン植民地化以降、さらに発展しました。現在でもボリビア鉱業の中心地として知られています。

鉱山地区は湖の東側に位置し、銀や錫が主な産出物です。しかし、鉱業活動は重金属汚染を引き起こしており、ポオポ湖の表面水や地下水から高濃度の重金属が検出されています。鉱山からの排水や鉱石処理の過程で重金属が流出し、製錬所からは重金属を含む物質が大気中に放出されています。

湖に流れ込んだ重金属は湖底に堆積し、湖水のヒ素、鉛、カドミウム濃度は、ボリビアやWHOの基準値を上回っています。

動植物相

ポオポ湖には、マウリ、カラチェ、イスピなどの固有種を含む数種類の魚が生息しています。20世紀にはニジマスやペヘレイなどの外来種が導入され、現在では重要な商業種となっています。また、34種もの水鳥が生息しており、特にチリーフラミンゴ、アンデスフラミンゴ、コバシフラミンゴの3種のフラミンゴが有名です。バードライフ・インターナショナルの調査では、チリーフラミンゴやコンドルなど、絶滅危惧種も確認されています。

湖周辺には、オプンティアやトリコケレウス属などの特殊な植物も生育しています。しかし、定期的な渇水と洪水のため、沿岸部の植生は限られています。

考古学的考察

ポオポ盆地では、ワンカラニ文化の影響が見られます。牧夫やリャマによる交易キャラバンが定住農民と共存し、商品やサービスを交換していました。初期地域開発期には居住地域が拡大し、ポオポ南部に住む人々は独特の陶磁器を開発しました。湖の東側のワリは、ティワナクとの交流があったことを示唆しています。

ポオポ湖は、その自然環境だけでなく、歴史や文化においても重要な存在です。しかし、近年は環境問題が深刻化しており、湖の保全が課題となっています。

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