ポジャールスキー公 (装甲巡洋艦)

ポジャールスキー公の艦船の概要

ポジャールスキー公（ロシア語: Князь Пожарский）は、ロシア帝国が開発した最初期の装甲巡洋艦の一隻であり、特に重要な歴史的役割を果たした船です。この艦はもともと装甲フリゲートとして設計されましたが、配備後に改造されて装甲巡洋艦として使用されました。そのため、ポジャールスキー公はロシア海軍の艦隊主力としての役割を担い、特に19世紀後半のクリミア戦争の影響を受けた艦隊の復興期に於いて強い存在感を示しました。

背景

装甲艦の時代は、木造蒸気軍艦の時代を引き継いで訪れました。この時期の初期の装甲艦は、高い防御力と重武装に焦点を当てていましたが、航行性能は二の次でした。そのため、商業機帆走フリゲートにも依然として活躍の場がありました。しかし、装甲艦の設計は、次第に航行性能やその用途に関する新たな考慮がなされるようになりました。

ポジャールスキー公級の艦は、初めてこれらの要件を併せ持つ装甲艦として設計され、ロシア海軍における新しいお手本となっていきました。艦の設計や建造は、1864年に始まり、以降さまざまな改設計が行われながら進行しました。

設計と建造

1864年、ロシア海軍は国内の造船所で新たな装甲艦を建造することを決定しました。設計はイギリスの技師、E・J・リードの手によるもので、装甲フリゲートのベレロフォンを元に据えて発展させました。当初の計画では、強い戦闘能力と高い航洋性を兼ね備えた艦が求められました。

ポジャールスキー公の建造は、1864年に開始され、変更が加えられながら1867年に進水式が行われました。その際、装甲は強化され、艦の総重量が増加し、武装配置の見直しがなされました。これにより、ポジャールスキー公は他の艦船と共に装甲巡洋艦へと進化していきます。

改設計と就役

進水式後もポジャールスキー公は設計の見直しや改修作業を重ね、実戦での性能向上に寄与しました。1871年にはバルト海装甲艦実習艦隊に駆り出され、様々な試験航海を行いました。良好な航洋性を示したものの、設計自体にいくつかの欠陥があったことも事実です。

1875年には運用面での問題解決のため大規模な改修が実施され、装甲巡洋艦としての機能と性能がさらに向上しました。

遠洋航海と現役

ポジャールスキー公は、特に1878年に行った地中海航海にて目立った活動を展開しました。この航海での任務は、ロシアの国際的な存在を示すものであり、その後も数度にわたりました。また、1884年にはバルト海実習艦隊の旗艦に任命され、重要な役割を担うこととなりました。

練習艦としての役割

時代の変化と共にポジャールスキー公は、1892年に1等巡洋艦へと類別変更されましたが、軍事的な意味は薄れていました。それでも、海軍幼年学校での実習艦として活躍し続けました。1906年からは正式な練習船として扱われ、1909年に廃艦とされました。これにより、ポジャールスキー公の長い歴史に幕が下ろされることとなりました。

結論

ポジャールスキー公は、ロシア帝国海軍の艦船において重要な一翼を担い、装甲艦の時代の始まりを象徴する艦船でした。その設計、建造、運用にわたる経緯は、当時の軍事技術の進化とともに数々の挑戦を乗り越えながら進んできたことを物語っています。この艦が示した多くの技術的革新と運用の経験は、後の艦船建造に大きな影響を与えることとなりました。

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